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生命保険(死亡保険)

生命保険会社の金融機関格付けとソルベンシーマージン比率

金融機関の信用力は、格付けという方法で、第三者の格付け機関が独自の調査で公表しています。海外ではS&PやMoody’sが有名ですが、日本には日本格付研究所や格付投資情報センターがあります。本記事では保険会社の経営状態を知る指標として、金融機関の格付けやソルベンシーマージン比率についてご紹介いたします。

金融機関格付けとは

保険会社を含め、金融機関は私たちの生活に密接な関係があります。金融機関の経営状態が不安定になると、保険会社が販売する保険商品や銀行の預貯金などに影響し、大切な財産がなくなったり、減少したりするかもしれません。

保険には生命保険契約者保護機構、銀行には預金保険機構がありますので、一定の範囲で保証を受けることはできます。保険契約者保護機構の原則的な保証は、責任準備金の90%となっており、支払った保険料の90%とは異なります。責任準備金は、保険会社が受け取った保険料の一部を将来の保険金支払いに備えて積み立てておくものです。

保険会社の経営が不安定になれば、貯蓄型の保険を中心に減額されてしまう可能性があります。支払能力が低く、万一保険金や給付金が予定通り支払われないと、契約して保険料を支払ってきた意味がなくなりますので、保険会社等の金融機関の評価が必要となります。

このように契約者を守る制度はありますが、金融機関の経営状況や信用力があらかじめ分かっていれば取引する金融機関を選ぶ基準になるかもしれません。

金融機関の信用力は、格付けという方法で、第三者の格付け機関が独自の調査で公表しています。海外ではS&PやMoody’sが有名ですが、日本には日本格付研究所や格付投資情報センターがあります。

関連ページ:生命保険会社が破綻したときどうなる?過去に破綻した保険会社のその後の経緯

 

格付けによる評価方法

格付けは、「AAA」や「BBB」などアルファベットで表記され、一定以下になると投機的要素が強いと見なされます。またアルファベットには、「A+」や「A-」のようにプラス・マイナス記号が付くことがあります。

格付けで使用される符号や定義は格付け機関によって異なります。先ほど紹介した4つの格付機関で使用されている符号は次の通りです。

<おもな格付機関の格付符号>

S&P

Moody’s

日本格付研究所

格付投資情報センター

AAA

Aaa

AAA

AAA

AA

Aa

AA

AA

A

A

A

A

BBB

Baa

BBB

BBB

BB

Ba

BB

BB

B

B

B

B

CCC

Caa

CCC

CCC

CC

Ca

CC

CC

SD,D

C

C

D

LD,D

定義もそれぞれ異なりますが、全く異なるわけではありませんので、ここでは保険に対する定義が分かりやすい格付投資情報センターを紹介します。

<格付投資情報センター 保険金支払能力に対する信用格付>

AAA

保険金支払能力は最も高く、多くの優れた要素がある。

AA

保険金支払能力は極めて高く、優れた要素がある。

A

保険金支払能力は高く、部分的に優れた要素がある。

BBB

保険金支払能力は十分であるが、将来環境が大きく変化する場合、注意すべき要素がある。

BB

保険金支払能力は当面問題ないが、将来環境が変化する場合、十分注意すべき要素がある。

B

保険金支払能力に問題があり、絶えず注意すべき要素がある。

CCC

保険金支払不能に陥っているか、またはその懸念が強い。支払不能に陥った保険金は回収が十分には見込めない可能性がある。

CC

保険金支払不能に陥っているか、またはその懸念が極めて強い。支払不能に陥った保険金は回収がある程度しか見込めない。

C

保険金支払不能に陥っており、保険金の回収もほとんど見込めない。

出典:格付投資情報センター「格付符号と定義」 

 

生命保険会社の金融機関格付けとは

格付けの定義は、保険金の支払能力が高いかどうかを判定しています。格付機関によって違いはありますが、一例として2024年11月現在の格付投資情報センターによる信用格付を紹介します。

<保険金支払能力に対する信用格付>

保険会社名

格付

朝日生命保険

BBB

アフラック生命保険

AA-

オリックス生命

A+

ジブラルタ生命保険

AA-

住友生命保険

AA-

ソニー生命保険

AA

SOMPOひまわり生命保険

AA

大樹生命保険

AA-

第一生命保険

AA-

第一フロンティア生命保険

AA-

大同生命保険

AA-

T&Dフィナンシャル生命保険

AA-

日本生命保険

AA

はなさく生命

AA+

富国生命保険

AA-

三井住友海上あいおい生命保険

AA

明治安田生命保険

AA-

メディケア生命保険

AA-

出典:格付投資情報センター「発行体/委託者を探す

 

 

信用格付けを見ますと、ほとんどの保険会社は「AA」に区分されており、「AA」の定義から、「保険金支払能力は極めて高く、優れた要素がある」と判定されています。

保険会社の評価については、ここまで紹介した格付機関による評価に加え、ソルベンシーマージン比率で確認することができます

 

ソルベンシーマージン比率とは

ソルベンシーマージン比率は、次の式で求めます。

ソルベンシーマージン比率=支払余力÷(1/2)×通常の予測を超える危機(リスク)に対応する額

ソルベンシーマージン比率が200%を下回ると、監督当局(金融庁)による早期是正措置がとられます。そのため、200%が一つの基準となりますが、過去には200%を超えていても破綻した保険会社があります。その後、ソルベンシーマージン比率の信頼性を向上させるために、算出方法が改正され今に至ります。

<ソルベンシーマージン比率>  2024年11月調べ

保険会社名

比率

朝日生命保険

806.2%

アフラック生命保険

961.2%

オリックス生命

1,720.8%

ジブラルタ生命保険

851.7%

住友生命保険

1,030.7%

ソニー生命保険

2,590.5%

SOMPOひまわり生命保険

1,507.5%

大樹生命保険

1,211.9%

第一生命保険

1,025.4%

第一フロンティア生命保険

593.8%

大同生命保険

1,290.5%

T&Dフィナンシャル生命保険

1,067.2%

日本生命保険

996.6%

はなさく生命

4,372.4%

富国生命保険

1,189.7%

三井住友海上あいおい生命保険

1,631.3%

明治安田生命保険

1,017.5%

メディケア生命保険

2,815.8%

保険会社選びのポイントとは

ここまで保険会社の信用力を見極めるため、格付機関とソルベンシーマージン比率を紹介しましたが、保険契約は長期間となります。保険加入時に評価が高くても、数十年後にどうなっているかは分かりません。

保険商品を選ぶ際には、保険会社ごとの評価は大切ですが、あまり意識しすぎると選べる保険商品が少なくなり、自分自身に合った保険が選べなくなる可能性も考えられます。

保険会社の支払い能力が心配な方は、一つの保険会社から加入するのではなく、複数の保険会社を選ぶことで、自然とリスク分散でき、選べる商品の幅も広がるでしょう。

関連ページ:ライフステージの変化にあわせて選ぶ!生命保険の賢い選び方【年代別編】

関連ページ:生命保険会社が破綻したときどうなる?過去に破綻した保険会社のその後の経緯

 

まとめ

今回紹介した格付けは一般的に公開されていますので、気になる方は保険加入時に探してみてください。またソルベンシーマージン比率は各保険会社のホームページに掲載されています。基本的には決算書や事業報告書に記載されていることもあり、最初は見にくいかもしれませんが、最終的に2つの商品で迷った場合になどに確認するといいでしょう。

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