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生命保険(死亡保険)

うつ病で住宅ローンの契約、団体信用生命保険の加入はできる?

うつ病は心の風邪とも言われており、誰にでもなる可能性のある病気です。厚生労働省の患者調査では、平成26年には112万人もの方が、うつ病または躁うつ病で医療機関を受診したそうです。

この記事を読んでいる方の中には「うつ病になっても住宅を購入できるのだろうか?」「住宅を購入した後にうつ病になったらどうしよう」と不安になり、住宅の購入を躊躇している方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで今回は、うつ病になった方でも住宅ローンが組めるのかどうかについてお話していきます。読んでいただくことで、うつ病になっても住宅ローンを借りられる可能性が高まりますので、ぜひご一読ください。

うつ病になると住宅ローンが組めなくなる理由

住宅は「生涯の中でもっとも高い買い物」と言われており、多くの方が住宅ローンを利用して購入します。

ではなぜ、うつ病になると住宅ローンが組めなくなるのでしょうか?

ココがポイント

その理由は、住宅ローンを引き受ける条件として、団体信用生命保険への加入を必須にしている金融機関が多いからです。

関連ページ:住宅ローンってどんなもの?団体信用生命保険との関係

住宅ローンは団体信用生命保険の加入が必須である場合が多いから

団体信用生命保険(団信)とは

住宅ローンの債務者が亡くなったときにローンの残債がゼロになる保険のこと。

団体信用生命保険の加入が必須である理由は、ローンの債務者に万一のことがあった場合に、金融機関が債務を回収できなくなるリスクを避けるためです。

団体信用生命保険に加入するには、申込時の健康状態を正直に告知しなければなりません。そして健康状態によっては、団体信用生命保険に加入できないのです。

団体信用生命保険(団信)に加入できないと、住宅ローンを組めなくなります。親族からの資金提供など別の方法を考えない限り、夢のマイホームを諦めなければなりません。

ココに注意

そしてうつ病は、数ある病気の中でも団体信用生命保険の加入審査にとても通過しづらい病気なのです。

関連ページ:団信とは?団体信用生命保険の仕組みや加入する際の注意点を解説

うつ病は団体信用生命保険の審査に通らない可能性が高い

団体信用生命保険(団信)の告知内容は、過去3ヶ月以内や過去3年以内などの病歴・投薬歴などを告知する必要があります。

ココに注意

もし告知しなければならない期間にうつ病で治療を受けていた場合は、告知の対象となり引き受けを断られる可能性が非常に高いのです。

保険会社によって告知事項は異なりますが、以下のような形式であることが多いです。

主な告知事項

  • 最近3ヵ月以内に医師の治療(診察・検査・指示・指導を含む)・投薬の有無
  • 過去3年以内に下記の病気で、手術の有無や、2週間以上にわたる医師の治療(診察・検査・指示・指導を含む)の有無

2つ目の「下記の病気」については、告知書に対象となる病気が列挙された表が記載されているため、その中から当てはまる病気がないか確認します。

上記に該当する項目がある場合は、病気やケガの名称や治療・投薬の期間などを詳細に記載しなければなりません。

列挙されている病気には、がんや心筋梗塞といった重い病気と並んで、精神病や神経症といった病気も含まれています。

うつ病は、精神病の一種です。

よって、新たに団体信用生命保険(団信)に加入するときの過去3年以内に、うつ病によって2週間以上の治療を受けた場合は、告知しなければなりません

うつ病は、治療期間が長引くことも多い病気です。そのため告知が必要で、団体信用生命保険の引き受けを断られる可能性が高いのです。

しかし、過去にうつ病になった場合でも、告知しなくも良い場合があります。それはどんなケースでしょうか?

関連ページ:高額な生命保険(死亡保険)加入時に必要な審査と上限

うつ病でも団体使用生命保険の審査を通過できるケースがある

ここでは、過去にうつ病に罹患していても、告知が不要なケースや告知における注意点についてご説明します。

告知内容によっては加入できる場合もある

過去にうつ病にかかっていたとしても、申告の対象期間を過ぎている場合は告知する必要はありません。たとえば告知の項目が、

過去3年以内に2週間の治療をしたことがあるかどうか

を問われている場合、

  • 3年以上前に治療が終了しているうつ病
  • 治療期間が2週間未満で終わっているうつ病

に関しては、告知をする必要はありません。

たとえば、5年前にうつ病の治療が終了し、医者に通院する必要はないと言われた場合は、過去3年以内に2週間の治療をしていないため、告知しなくて大丈夫です。

ココに注意

ただし告知が必要であるにもかかわらず、意図的に告知しないことは、告知義務違反に該当するため絶対にしてはいけません。

関連ページ:告知の重要性と生命保険に加入するときの注意点

告知義務違反はしてはならない

告知義務違反とは

告知の時に自分の健康状態を偽って申告することです。

告知義務違反をすると、保険金が支払われる事態が起きても、保険会社は保険金を支払わない可能性があります。

団体信用生命保険の場合、告知義務違反となり保険金が支払われなかった際に、最も困るのは残された家族です。

ココに注意

団体信用生命保険の保険金が下りない場合、残された家族は住宅ローンの残債を引き続き返済していかなければなりません。

配偶者の収入が低い場合や預貯金などの資産があまりない場合は、住宅ローンの返済が滞って、家を手放さなければならなくなる可能性もあるでしょう。

このように団体信用生命保険で告知を正しく行わないと、家族に迷惑をかけることになるため、ありのままの健康状態を正直に申告しましょう。

関連ページ:なぜ生命保険に告知が必要なの?その重要性と告知の種類を解説します

うつ病の方が住宅ローンを組む方法

通常の団体信用生命保険の告知事項に該当し、加入できない可能性が高い場合でも、まだ諦めてはいけません。

ここでは、うつ病の方が住宅ローンを組むための方法について解説していきます。

ワイド団信に加入する

団体信用生命保険に加入する時に「ワイド団信」に加入する方法があります。

ワイド団信とは

保険会社が契約を引き受ける健康状態の基準が、通常よりも緩めに設定されている団体信用生命保険です。

金融機関によっては、うつ病の方でもワイド団信への加入を認めた実績もあるため、うつ病の方が団信に加入したい場合、最も有力な選択肢となります。

ココに注意

ただしワイド団信に加入する場合、保険料として住宅ローンの金利が+0.2〜0.5%程度、上乗せされる点に注意しましょう。

死亡・高度障害を保障する団信の場合、保険料は金融機関が負担してくれる場合が多く、特約を付加した場合を除いて、返済額は変わらない場合が多いです。

一方でワイド団信の場合は、金利が上乗せとなるため、返済額が上昇します

たとえば、3,200万円を金利0.46%で35年間借り入れたとしましょう。ワイド団信の上乗せ金利が0.3%であった場合、最終的な金利は0.76%となり、返済総額も約180万円上昇します。

そのため、ワイド団信に加入する場合は、金利を上乗せしてもローンを返済していけるかどうかを、シミュレーションを行った上で慎重に検討しましょう。

フラット35を利用する

フラット35とは

民間の金融機関と住宅支援機構が共同で提供している住宅ローン。

フラット35は、団体信用生命保険の加入が必須でないため、うつ病の方でも利用できます。

また全期間固定金利であるため、返済期間の途中で金利が上昇して返済負担が増える心配がありません。加えて、自営業や転職してすぐの方などでも借り入れの審査に通過しやすいというメリットがあります。

一方で、団体信用生命保険に加入しない場合、住宅ローンを返済する人が死亡しても、残債がゼロになりません。そのため残された家族は、引き続き住宅ローンの返済が必要です。

なので団体信用生命保険に加入せずにフラット35で住宅ローンを組むのは、以下のような方におすすめです。

こんな方におすすめ

  • 既に大きな死亡保障に加入している
  • 死亡しても配偶者や親族などが返済してくれる

このように、住宅ローンの債務者が亡くなっても返済に苦労する可能性が少ない人は、団信なしのフラット35を利用するのも1つの方法ですね。

もし十分な死亡保障に加入しておらず、親族にも住宅ローンの返済を頼れない場合は、引受基準緩和型の死亡保険への加入する方法もあります。

引受基準緩和型の死亡保険とは

ワイド団信と同じように、加入時の健康状態の引受基準が緩い死亡保険のこと。

告知事項は、基本的に過去の入院や手術、がんなどの重い病気での治療の有無を問われるのみですので、うつ病の方でも加入できる可能性が高いです。

一方で引受基準緩和型の死亡保険は、保険金額が最高で1,500〜2,000万円までなど制限されているケースが多いため、借入額と死亡保障額のバランスに注意しましょう。

また引受基準緩和型の死亡保険は、保険料負担が割高です。毎月の保険料負担が、家計を圧迫しないかを確認した上での判断が必要です。

ここまでは、現在うつ病に罹患している人が、住宅ローンを利用する場合や団体信用生命保険に加入する際の注意点について解説しました。

しかしうつ病は、過去にかかった人だけが気をつければ良い病気ではありません。健康な方が住宅ローンを組んだ後に、うつ病になる可能性もあるのです。

そこで次では、住宅ローンの返済中にうつ病になった場合についてお話していきます。

関連ページ:住宅を購入したときは生命保険の見直しのタイミング!

返済中にうつ病になったら住宅ローンは免除されない

無事に住宅ローンを借りられても、うつ病になることで収入が減少すると、住宅ローンの返済が難しくなるリスクが高まります。

団体信用生命保険(団信)の保障範囲は基本的に、死亡・高度障害、三大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)などの疾病が中心。

ココに注意

うつ病などの精神疾患で働けなくなった場合は、一般的に保障の対象外となります。

うつ病などの精神疾患は、状態が重ければ障害年金を受給して収入の減少に対処できます。また会社員や公務員が働けなくなった場合、傷病手当金を受給できるので、いきなり収入の全てが失われるわけではありません。

関連ページ:医療保険とは?公的医療保険制度との仕組みの違いをわかりやすく解説

うつ病で働けなくなった場合に備えられる保険

うつ病は、治療期間が長引くケースが多いです。

障害年金や傷病手当金は、減少した収入の全てを補填できるわけではないため、治療期間が長引くほど住宅ローンの返済が難しくなっていく可能性が高くなります。

対策としては、あらかじめ就業不能保険(所得補償保険)へ加入する方法があります。

就業不能保険(所得補償保険)とは

病気やケガなどで働けなくなった場合に、毎月一定額の保険金を受け取れる保険。

単品で販売されている他にも、医療保険収入保障保険の特約として販売されている場合もあります。

保険金は毎月10万円や15万円など定額で支払われるため、保険金の設定次第では住宅ローンの返済だけでなく、毎月の生活費にも備えられます。

一方で就業不能保険では、うつ病で働けなくなった場合、保険金の給付期間が2年や3年などの制限が設けられていることが多いです。

さらに場合によっては、うつ病が保障の対象外である就業不能保険も販売されているため、保障内容をよく確認してから加入しましょう。

もしあなたが、

  • まだうつ病に罹患していない
  • 治療終了から長期間が経過している

場合は、ここでご紹介した民間の保険への加入がおすすめです。毎月の保険料負担を試算した上で、慎重に加入を検討してみて下さい。

ちなみに働けなくなった場合に、住宅ローンの返済額と同額の保険金を受け取れる「債務返済支援保険」は、うつ病などの精神疾患は補償の対象外である場合がほとんどです。

債務返済支援保険に加入する際は、精神疾患が補償の対象かどうかを確認してみて下さい。

関連ページ:就業不能保険の保障金額の算出方法とその必要性

まとめ

うつ病になったことがある場合、住宅ローンを組むことが難しくなります。

なぜなら、住宅ローンは多くの場合で団体信用生命保険(団信)への加入が必須で、うつ病の罹患歴があると団信に加入できない可能性が高いからです

ただし、うつ病で治療をした期間が告知で問われている期間に該当しない場合は告知する必要がないため、団体信用生命保険に加入できる確率が高まります。

また、

  • 健康状態の引受基準が緩い「ワイド団信」
  • 団信への加入が必須でない「フラット35」

といった選択肢も考えられますね。

そして住宅ローンを借りたあとも、うつ病になることで住宅ローンが支払えなくなるリスクはあります。

障害年金や傷病手当金といった公的保険制度を理解した上で、必要に応じて就業不能保険(所得補償保険)への加入を検討してみて下さい。

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