シングル家庭は要注目!相続にまつわる生命保険(死亡保険)のハナシ
近年、離婚率の上昇に伴い、シングルマザー、シングルファザーとして子どもを育てる家庭が増えています。2011年の厚生労働省の調査によると、母子世帯数は123.8万世帯、父子世帯数は22.3万世帯となっています。そんなシングル家庭にとって、もしもの事態は子供の一生を左右します。「もしも、自分が死んでしまったら、子どもの生活はどうなるのか」親であれば、一度は考えたことがあるでしょう。これと同時に検討されているのが、生命保険への加入です。子どもの将来を考えるなら、まとまったお金の入る生命保険は有用ですが、相続にあたっての注意点もあります。本記事では、シングル家庭が生命保険に入る際に注意しておきたいこと及び相続時の代表的なトラブルに対する対応策をご紹介します。
世帯数参考 : 厚生労働省一人親家庭などの現状について
シングル家庭は生命保険に加入すべき?
そもそも生命保険とは、被保険者が亡くなった際に死亡保険金が支払われる保険契約のことをいいます。
子どもを成人するまでに必要といわれる費用は、小学校、中学校、高等学校、すべて効率に通ったとしても約540万円かかるといわれています。私立学校や大学に通うとなれば、学部によってそれだけ学習費もかかります。もちろん学習費だけでなく日常的な生活費などを含めると、さらなる費用がかかります。
(平成28年度学習費調査 )
シングル家庭では、配偶者がいないためこれらの費用を一人で稼がなければなりません。ところが、万が一にも親が亡くなってしまうと、子どもにとっての収入の当てがなくなってしまいます。
- 自分が亡くなった後、お子様を路頭に迷わせることはしたくない
- 生命保険に加入していれば、亡くなったとしても死亡保険金が支払われるから子どもの生活が安心
- 少しでも子どもの将来のためにお金を残したい
そんな思いから、生命保険に加入されるご家庭が増えています。また、資産的に生活の不安がない場合でも、相続税対策として生命保険に加入される方も多くいらっしゃいます。
シングル家庭が生命保険に加入するメリット
さて、ここで改めてシングル家庭が生命保険に加入するメリットをまとめておきましょう。
- 親の死後、子どもに生活費を残せる
- 生命保険への加入期間中に支払う保険料は年末調整や確定申告の際の生命保険料控除になり、税金(所得税・住民税)の負担額が減る
- 万が一の際に支払われる死亡保険金は、一定額にあたるまで相続税の非課税枠に該当するため、相続税が軽減される(法定相続人1人当たり500万円まで)
資産が多かったり、子供が成人していて自ら稼ぐ手段を持っていたりするのであれば、多額の保険金を残す必要はないでしょう。ですが、子供がまだ小さいのであれば、将来にわたり生活費や学習費など多額の費用がかかってしまいます。先ほどもお伝えしたように、すべて公立に通ったとしても540万円ほど、私立に通うとなれば数千万円はかかってしまう計算となります。
このような大金、働いている間はシングル家庭でも工面できるかもしれませんが、親が亡くなってしまうと、稼ぎだすのは難しいといえるでしょう。そのため、子どもの生活の安定のために生命保険への加入を検討しておくことをおすすめします。
シングル家庭が生命保険に加入するデメリット
子どもの生活の安定のためには、生命保険に加入している方がいいとお伝えしましたが、ご家庭によっては加入することで不都合が生じる可能性があります。
- 支払保険料が高額すぎる
- 保険金の受取人を決めなければならない
- 子どもが小さすぎる場合、保険金を受け取れないので、未成年後見人を立てる必要がある
生命保険は条件をクリアすれば加入できますが、死亡保障を高額に設定する場合、支払保険料も高額になってしまいます。可愛い子どもにお金を遺したいという気持ちもわかるのですが、支払保険料があまりにも高すぎると、毎日の生活にしわ寄せがきてしまいます。自ら負担できる範囲内で加入しましょう。
生命保険を契約する場合、万が一本人が死亡した際の死亡保険金の受取人を定めなければなりません。子どものためにお金を残すのであれば、受取人は子供にしておく方がいいでしょう。ただし、子供が小さすぎるとお金の管理や手続きができません。そのため、親や信頼のおける親せきを受取人にしておいてもいいでしょう。
また、当初から子どもを死亡保険金の受取人と定めるのであれば、未成年後見人を立てる必要があります。未成年後見人とは、親権者が亡くなってしまった場合に、子どもの法定代理人として活動する者を意味します。通常、子どもの財産管理や教育などの決定については親権者である親がおこないますが、子供が未成年であるにもかかわらず親権者がいない場合には、民法838条1号にもとづいて、法的な代理人を定めることとなっています。特に未成年者について法的な代理をおこなう人のことを未成年後見人と呼んでいます。
さて、未成年後見人とは、民法839条に基づいて親権者が特定の人物を指定する場合、民法840条に基づいて未成年被後見人(今回のケースでいう子ども)や親族、利害関係人によって家庭裁判所が選任する場合があります。
自分の死後、勝手に未成年後見人を決められたくないのであれば、事前に遺言書などで見成年後見人を定めておくと良いでしょう。もちろん、その際には、未成年後見に指定する人の同意を得ておいてください。
シングル家庭が生命保険を契約する場合に注意したいトラブル
シングル家庭が生命保険を検討する際のメリット、デメリットをご紹介しましたが、実際に親が亡くなった後にトラブルになるケースが後を絶ちません。ここでは、代表的なトラブルと対策をご紹介します。
死亡保険金の受取人を未成年者の子供にしているケース
生命保険の死亡保険金について未成年者は受け取れず、その後見人の代理もしくは同意が必要となります。万が一、後見人を定めずなくなってしまった場合、自分が予期せぬ人物が家庭裁判所によって後見人に選ばれる可能性も少なくありません。また、その人物が受け取った保険金を使い込むケースもありえます。
保険金が確実に子どもの手に渡るように、あらかじめ後見人を定めておいて、遺言などで子どもの生活費や学習費にあてる旨を記載しておきましょう。
生命保険に加入していなかったため、相続税が多大になったケース
法定相続人が子どもだけの場合、相続財産に相続税がかかってきます。ですが、生命保険は、相続財産ではなく、あくまで受取人が保険金を受け取る権利になります。そのため、税法上では、みなし財産とされて相続税の非課税枠が設けられています。非課税枠は法定相続人1人につき500万円です。相続人に現金資産が多い場合は、相続税対策として生命保険に加入しておくといいでしょう。
まとめ
シングル家庭が生命保険に加入する場合に注意したいポイントは3つあります。
注意ポイント
- 死亡保険金および支払保険料の金額
- 死亡保険金の受取人の指定と子供が未成年の際の後見人の指定
- 相続税の対策としての生命保険の契約と金額
最近は、生命保険もさまざまな種類の商品があり、オプション契約も充実しています。どんな商品を選べばいいのか悩んでいるときは「保険必要度分析」をご活用ください。質問に答えていくだけであなたに最適な保険をご提案いたします。
また、専門的な情報が欲しい場合や現在の保険からの乗り換えをお考えの方は、独立系のファイナンシャルプランナーに相談してみましょう。家族構成や資産状況などを話すことで、あなたに適した保険内容についてアドバイスをもらえます。お子様の未来を守るためにも、気軽にご相談くださいね。