うつ病でも住宅ローンは組める?団体信用生命保険(団信)の審査基準や代替策を解説
うつ病になると住宅ローンの審査が通らないことは珍しくありません。
その大きな理由は、住宅ローンの多くで加入が求められる団体信用生命保険(団信)の審査が通過しにくくなるためです。
しかし、うつ病だからといって必ず住宅ローンをあきらめる必要はありません。ワイド団信やフラット35など、利用できる選択肢は複数あります。
この記事では、うつ病と住宅ローン審査の関係、団信に通らない理由、利用可能なローンの種類、さらに返済中にうつ病になった場合の備え方まで、わかりやすく解説します。
この記事のポイント
- うつ病は団体信用生命保険(団信)の審査で不利となるため、住宅ローンを組めない可能性が高い。
- うつ病を患っていても住宅ローンを組む方法として、「ワイド団信」や「フラット35」などの選択肢がある。
- 住宅ローン返済中にうつ病を発症しても、団信ではカバーされない。就業不能保険などで収入減に備える必要がある。
うつ病だと住宅ローンが組めない可能性がある

住宅は「生涯の中でもっとも高い買い物」と言われており、多くの方が住宅ローンを利用して購入します。
ではなぜ、うつ病になると住宅ローンが組めない可能性が高くなるのでしょうか。
住宅ローンは団体信用生命保険の加入が必須である場合が多い
団体信用生命保険(団信)とは
住宅ローンの債務者が亡くなったときに、ローンの残債がゼロになる保険のこと。
団体信用生命保険の加入が必須である理由は、ローンの債務者に万一のことがあった場合に、金融機関が債務を回収できなくなるリスクを避けるためです。
団体信用生命保険に加入するには、申込時の健康状態を正直に告知しなければなりません。
うつ病は、団体信用生命保険の加入審査を通過しづらい病気のひとつであり、場合によっては加入を断られることもあります。
関連記事:団信(団体信用生命保険)の特約・保障範囲を知る前に押さえたいこと
うつ病は団体信用生命保険の審査に通らない可能性が高い
団体信用生命保険(団信)の告知内容は、過去3ヶ月以内や過去3年以内などの病歴・投薬歴などを告知する必要があります。
保険会社によって告知事項は異なりますが、一般的には以下の内容です。
- 最近3ヵ月以内に医師の治療(診察・検査・指示・指導を含む)・投薬の有無
- 過去3年以内に保険会社指定の病気で、手術の有無や、2週間以上にわたる医師の治療(診察・検査・指示・指導を含む)の有無
もし、上記に該当する項目がある場合は、病気やケガの名称や治療・投薬の期間などを詳細に記載しなければなりません。
列挙されている病気には、がんや心筋梗塞といった病気と並んで、精神病や神経症といった病気も含まれています。
うつ病は精神病のとして分類されるため、もし過去3年以内などに、うつ病によって2週間以上の治療を受けた場合は、告知が必要となります。
関連記事:住宅ローンとは?金利の種類や返済方法、今知っておきたいマイナス金利解除の影響もわかりやすく解説!
うつ病でも団体使用生命保険(団信)に加入できるケースがある
一方で、過去にうつ病を患っていた場合でも、告知が不要となる場合があります。
過去にうつ病を患っていたとしても、申告の対象期間を過ぎている場合は告知する必要はありません。
たとえば告知の項目で、「過去3年以内に2週間の治療をしたことがあるか」を問われている場合、下記に当てはまれば告知は不要となります。
- 3年以上前に治療が終了しているうつ病
- 治療期間が2週間未満で終わっているうつ病
たとえば、5年前にうつ病の治療が終了した場合は、「過去3年以内に2週間の治療を行った」ことに該当していないため、告知は不要です。
告知義務違反に注意
告知義務違反とは
告知の時に自分の健康状態を偽って申告すること。
告知義務違反をすると、保険金が支払われる事態が起きても、保険会社は保険金を支払わない可能性があります。
団体信用生命保険の場合、告知義務違反となり保険金が支払われなかった際に、最も困るのは残された家族です。
団体信用生命保険の保険金が受け取れなければ、残された家族で住宅ローンの残債を引き続き返済していかなければなりません。
配偶者の収入が低い場合や預貯金などの資産があまりない場合は、住宅ローンの返済が滞り、家を手放さなければならなくなる可能性も考えられます。
うつ病で住宅ローンが組めない場合の対策

うつ病を患い通常の団体信用生命保険の告知事項に該当し、加入できない可能性が高い場合でも、まだ諦める必要はありません。
ここでは、うつ病の方が住宅ローンを組むための方法について解説していきます。
ワイド団信に加入する
団体信用生命保険に加入する時に「ワイド団信」に加入する方法があります。
ワイド団信とは
保険会社が契約を引き受ける健康状態の基準が、通常よりも緩めに設定されている団体信用生命保険。
金融機関によっては、うつ病の方でもワイド団信への加入を認めた実績もあるため、うつ病の方が団信に加入したい場合、最も有力な選択肢となります。
ワイド団信の注意点
ただし、ワイド団信に加入する場合、保険料として住宅ローンの金利が+0.2〜0.5%程度、上乗せされる点に注意しましょう。
死亡・高度障害を保障する団信の場合、保険料は金融機関が負担してくれる場合が多く、特約を付加した場合を除いて、返済額は変わらない場合が多いです。
一方でワイド団信の場合は、金利が上乗せとなるため、返済額が上昇します。
たとえば、3,200万円を金利0.46%で35年間借り入れたとしましょう。
ワイド団信の上乗せ金利が0.3%であった場合、最終的な金利は0.76%となり、返済総額も約180万円上昇します。
そのため、ワイド団信に加入する場合は、金利を上乗せしてもローンを返済していけるかどうか、シミュレーションを行った上で慎重に検討しましょう。
フラット35を利用する
フラット35とは
民間の金融機関と住宅支援機構が共同で提供している住宅ローン。
フラット35は、団体信用生命保険の加入が必須でないため、うつ病の方でも利用できます。
また、全期間固定金利であるため、返済期間の途中で金利が上昇して返済負担が増える心配がありません。
加えて、自営業や転職してすぐの方などでも借り入れの審査に通過しやすいというメリットがあります。
一方で、団体信用生命保険に加入しない場合、住宅ローンを返済する人が死亡しても、残債がゼロになりません。そのため残された家族は、引き続き住宅ローンの返済が必要です。
よって、団体信用生命保険に加入せずにフラット35で住宅ローンを組むのは、以下のような方におすすめです。
- すでに大きな死亡保障に加入している
- 残された配偶者や親族などが住宅ローンを返済できる
住宅ローンの債務者が亡くなっても、返済に苦労する可能性が少ない場合、団信なしのフラット35を利用するのも1つの方法です。
あわせて引受基準緩和型の死亡保険への加入も検討を
もし十分な死亡保障に加入しておらず、親族にも住宅ローンの返済を頼れない場合は、引受基準緩和型の死亡保険に加入する方法もあります。
引受基準緩和型の死亡保険とは
ワイド団信同様、加入時の健康状態の引受基準が緩い死亡保険のこと。
告知事項では、基本的に過去の入院や手術、がんなどの重い病気での治療の有無を問われます。よって、うつ病の方でも加入できる可能性が高い保険です。
一方で引受基準緩和型の死亡保険は、保険金額が最高で1,500〜2,000万円までなど、制限されているケースがあります。
また、引受基準緩和型の死亡保険は、保険料負担が割高です。毎月の保険料負担が、家計を圧迫しないかを確認した上での判断が必要です。
関連記事:持病があっても入れる保険とは?引受緩和型と無選択型の比較
返済中にうつ病になっても住宅ローンは免除されない
ここまでは、現在うつ病に罹患している人が、住宅ローンを利用する場合や団体信用生命保険に加入する際の注意点について解説しました。
しかし住宅ローンを組んだ後に、うつ病になったケースではどうなるのでしょうか。
団体信用生命保険(団信)の保障範囲は基本的に、死亡・高度障害、三大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)などの疾病が中心となります。
よって、うつ病などの精神疾患で働けなくなった場合は、一般的に保障の対象外となります。
うつ病などの精神疾患は、状態が重ければ障害年金を受給して収入の減少に対処できます。
また会社員や公務員が働けなくなった場合、傷病手当金を受給できるので、いきなり収入の全てが失われるわけではありません。
うつ病で働けなくなった場合に備えられる保険
うつ病は、治療期間が長引くケースが多いです。
障害年金や傷病手当金は、減少した収入の全てを補填できるわけではないため、治療期間が長引くほど住宅ローンの返済が難しくなっていく可能性が高くなります。
対策としては、あらかじめ就業不能保険(所得補償保険)へ加入する方法があります。
就業不能保険(所得補償保険)とは
病気やケガなどで働けなくなった場合に、毎月一定額の保険金を受け取れる保険。

単品で販売されている他にも、医療保険や収入保障保険の特約として販売されている場合もあります。
保険金は毎月10万円や15万円など定額で支払われるため、保険金の設定次第では住宅ローンの返済だけでなく、毎月の生活費にも備えられます。

一方で就業不能保険では、うつ病で働けなくなった場合、保険金の給付期間が2年や3年などの制限が設けられていることが一般的です。
さらに場合によっては、うつ病が保障の対象外である就業不能保険も販売されているため、保障内容をよく確認してから加入しましょう。
もしご自身がまだうつ病に罹患していなかったり、うつ病の治療終了から長期間が経過していたりする場合は、ここでご紹介した民間の保険への加入がおすすめです。
毎月の保険料負担を試算した上で、慎重に加入を検討してみるとよいでしょう。
関連記事:精神疾患にも注意!就業不能保険の保障金額算出方法と必要性
まとめ
うつ病は団信の審査に影響しやすく、住宅ローンを組みにくくなるのは事実です。
ただし、ワイド団信の利用やフラット35の活用、引受基準緩和型の死亡保険の併用など、選択肢は複数あります。
また、ローン返済中にうつ病を発症した場合は団信でカバーされないため、就業不能保険などで収入減に備えることが重要です。
さらに、住宅購入時に備えるべきリスクについて知りたい場合は、【しっかり保険、ちゃんと節約。】住宅ローンを組んだときの保険の見直し方法!住宅購入時に備えるべきリスクやポイントを解説も参考になります。
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