法人保険の種類とは?保障性・貯蓄性・税務メリットを比較解説
法人が加入できる生命保険には、万一への備えだけでなく、資産形成や退職金準備、福利厚生に活用できる商品まで多様な選択肢があります。
しかし、保障内容や税務上の取扱いを理解せずに選ぶと、期待した効果が得られないこともあります。
この記事では、法人保険の代表的な種類と特徴、損金算入の考え方を整理し、自社に合った保険選びのポイントを解説します。
この記事のポイント
- 法人保険は、定期保険・終身保険・養老保険など目的によって役割が異なり、保障性と貯蓄性のバランスを理解することが重要である。
- 法人名義で加入する生命保険は、商品や契約形態によって損金算入・資産計上など税務上の取扱いが大きく異なる。
- 医療保険やがん保険は、役員・従業員のリスクに備えながら、福利厚生としても活用できる点が特徴である。
社長・役員の万一に備える「定期保険」
定期保険とは、「10年間」や「60歳まで」というように、保障期間が予め決まっているものことをいいます。
満期保険金はなく、保障期間中に死亡した場合や高度障害状態など生命保険会社所定の状態になった場合に、約定の保険金が給付されます。
法人名義で契約する場合、支払った保険料の一部を損金算入することが可能です。
定期保険の保険金額は、保障期間を通して一定であるのが一般的ですが、逓増定期保険のように保険金額が変化する商品もあります。
定期保険のうち、以下の2つの条件を満たすものを「逓増定期保険」と呼びます。
- 保障期間の経過に伴い、保険金額が最高5倍の範囲内で増加する
- 保障期間満了時における被保険者の年齢が45歳超
逓増定期保険は一般的な定期保険に比べ、解約返戻率のピークが早く訪れる傾向にあります。
また、逓減定期保険は、保障期間の経過に伴い、保険金額が少しずつ減少していきます。
例えば、借入金を返済できなくなるリスクをカバーするために保険に加入する場合、必要な保障額は返済が進むにつれ減少します。
逓減定期保険では、このようなカバーすべきリスクの変化に合わせた保障を確保することができるのです。
関連記事:定期保険とは?メリット・デメリットと活用法を完全解説
資産形成に役立つ「終身保険」
終身保険も定期保険と同じく、死亡した場合もしくは高度障害状態など生命保険会社所定の状態になった場合に、約定の保険金が給付されます。
定期保険の場合は保障期間が定められていましたが、終身保険の場合は保障期間が「終身」であるため、生涯にわたり保障を受けられます。
人はいつか死亡するため、終身保険は解約しない限り、必ず保険金を受け取ることができます。
そのため終身保険の保険料は、定期保険に比べて高めに設定されるのが一般的です。
また、法人名義で終身保険に加入する場合、支払った保険料は全額資産計上となります。
そのため決算対策としての魅力には欠けますが、終身保険は解約返戻率が高水準であるものが多く、その貯蓄性に着目して資産形成を目的に加入する法人も少なくありません。
関連記事:終身保険の仕組みや特徴、メリット・デメリット、解約返戻金や保障期間について解説
退職金の準備に活用できる「養老保険」
養老保険とは、保障期間中に死亡した場合には死亡保険金が、満期時に生存していた場合には死亡保険金と同額の満期保険金が給付されるもののことをいいます。
例えば、30歳のAさんが保険金額3,000万円・保障期間30年、という条件で養老保険に加入したと仮定します。
Aさんが保障期間内に死亡した場合は死亡保険金3,000万円が、満期まで生存していた場合は満期保険金3,000万円が給付されるのです。
養老保険は貯蓄性が高い商品で、解約返戻率は保障期間の経過に伴って高くなります。
また、満期直前の解約であれば、満期保険金とほぼ同額の解約返戻金を受け取れる商品も多くあります。
そのため、退職金を準備する手段としてはもちろん、事業資金の確保や資産形成を目的にこの保険に加入する法人も少なくありません。
条件を満たせば払込保険料の半額を損金処理できる
養老保険は、生存保険金の受取人を法人、死亡保険金の受取人を被保険者の遺族とする場合に、払込保険料の2分の1相当額を損金算入することが認められています。
法人の税負担を軽減しつつ従業員の退職金の原資を作ることができるというのも、多くの法人が養老保険を活用する理由のひとつと言えるでしょう。
関連記事:終身保険・養老保険、掛け捨ての定期保険・収入保障保険の仕組みと違いについて
役員・従業員の病気やケガのリスクに備える「医療保険」

医療保険は、病気やケガにより入院をしたり手術を受けたりした場合に、約定の保険金が給付されるもののことをいいます。
ここまでご紹介した定期保険や終身保険、養老保険の保障内容は比較的シンプルなものでした。
しかし、医療保険は入院一時金特約や通院特約、介護一時金特約、というように様々な特約を付加し、保障内容をニーズに合わせて細かくカスタマイズすることが可能です。
法人契約の医療保険は従業員の福利厚生にも役立つ
契約者を法人、被保険者を役員や従業員とする医療保険は、解約返戻率50%以下かつ保障期間・保険料払込期間ともに終身である場合に、払込保険料の全額を損金算入することができます。
また、被保険者である役員や従業員の入院などにより法人に保険金が支払われた場合、これを原資として見舞金を支給することも可能です。
さらに法人名義で加入した医療保険は、所定の手続きを経ることにより、被保険者である役員や従業員「個人」の名義に変更することができます。
このように医療保険は、病気やケガへの備えとしてはもちろん、役員や従業員の福利厚生を充実させる手段としても役立つ商品なのです。
関連記事:法人保険の税金の取扱いとは?課税対象になるケースなどを解説
がんのリスクをカバーする「がん保険」
がん保険は、がんと診断された場合に一時金が給付されたり、がん治療のための入院費用や手術費用が保障される保険です。
払込保険料についても医療保険と同様、解約返戻率50%以下かつ保障期間・保険料払込期間ともに終身である場合、払込保険料の全額を損金算入することが可能です。
がん保険も医療保険と同様、役員や従業員の健康リスクをカバーしつつ、福利厚生に適した商品であると言えるでしょう。
まとめ
法人向け生命保険には、経営者や役員の万一に備える保障型の保険から、退職金準備や資産形成を目的とした貯蓄性の高い保険、福利厚生に役立つ医療・がん保険まで幅広い種類があります。
重要なのは、保険料の安さだけで判断するのではなく、保障内容と税務処理、加入目的を明確にしたうえで選択することです。
法人保険は設計次第で経営を支える有効なツールともなるため、専門家にも相談しながら自社に最適な形を検討するとよいでしょう。






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