アクチュアリーという仕事を選んだ理由
コのほけん!編集部
保険業界を選んだ理由を教えて下さい。
田中さん
私は大学院まで進学し、理系のバックグラウンドがあるため、専門性を活かせる職種ということでアクチュアリー ※1 を志しました。
アクチュアリーの試験は、基礎科目5科目と専門科目2科目があります。
これらを合格して、はじめてアクチュアリー正会員になります。学生のうちに試験の勉強をして、幾つかの科目を合格してから会社に入りました。
※1 アクチュアリーとは、確率や統計等の手法を用いて、将来の不確実な事象の評価を行い、保険や年金、企業のリスクマネジメント等の多彩なフィールドで活躍する数理業務のプロフェッショナルです。
※出典:公益社団法人 日本アクチュアリー会
保険数理だけに留まらない業務領域
コのほけん!編集部
現在、担当されている仕事内容について教えてください。
田中さん
私自身は保険の数理側のバックグラウンドを持っていますが、自分自身の専門領域に拘らず、商品開発のあらゆる領域をカバーしています。
どんな商品であれば売れるのか等の商品の企画から、今、この会社の商品に欠けているポイントは何なのか等を検討します。そして、具体的に保険商品を作るにあたり、金融庁と認可折衝をする必要があります。
認可折衝とは、保険の商品内容に問題がないかを金融庁に確認・協議し、販売の許可を得ることです。保険会社が新しい商品を売るには、金融庁に認可を取らないといけませんので、しっかりとその準備をします。
たとえば保険の数理に関する話でいえば、値付け、いわゆる保険料や保険金等の数字をいくらに設定するかという部分が重要です。その保険にとってその金額が妥当であるか、さらに会社の収益やリスク等との兼ね合いも考慮しながら最適な金額を定めていく必要があります。
契約内容の話でいうと、保険契約の内容を定めた約款ではどういう内部規定を定めればいいのか、安全規定のようなものを入れなくてはいけないのではないか等の約款の規定の話もあります。
私の部下の中には、数理のプロフェッショナルもいれば、約款等を専門とする者もいますので、それらを全体的に束ねつつ、保険の商品開発の全体を取り仕切っていくのが私の仕事です。
金融庁との認可折衝の重要性とは?
コのほけん!編集部
商品開発の上で、大変だったエピソード等を教えてください。
田中さん
ステークホルダーマネジメントはそれなりに大変です。
私は2013年に当社に入社して、ほとんどの場面において商品開発をやってきました。イニシアティブを取って、こういう商品を作ろうと決めれば、部署が動きます。ひいては、会社自体の商品開発の方針になります。
しかしながら、社内にはステークホルダーが多いため、なぜこういう商品を作るのか、他にいろんな開発の候補がある中で、これをやるべきだというところを納得してもらう必要があります。
納得してもらうために、様々な根拠を積んで関係部署と協議を重ね、最終的には、社長ともディスカッションをして、商品内容を吟味していきます。
また、保険数理に関していえば、データの少ない支払事由に対する値付けは苦労します。
先ほど触れた金融庁との認可折衝では、この保険事故はこのぐらいの確率で起きる、もしくは起きそうだから、保険料等はこのぐらいの値付けになりますと説明する必要があります。
ただ、そういった保険会社の支払い事由に綺麗に対応したデータがないことが一般的です。
特に医療保険には、病気の数の分だけ、いろんな支払い事由があります。
たとえば50歳男性で癌になる人がどのくらいか等の割合であればデータも豊富なのですが、もっと患者数が少ない病気の場合、 患者数が少ない病気に罹患して、治療のために手術をする人の割合についてデータがあるのかというと、やはりないわけです。
そういう病気の人に対して給付をしますといっても根拠となるデータがないので、推計でこの位の人数がいるのではないかとデータを算出し、その他、様々なデータを探し回って形を作っていきます。
認可折衝をやっている最中に、金融庁側からの指摘でデータの再作成が必要な状態になったが、適当な基礎資料が見つからない、でも、会社の計画ではいつまでにこの商品を取り扱い開始にするということになっており、ここで認可折衝を失敗したら出せない、そんな状況で冷や汗をかきながら、一生懸命データかき集めることもありました。
コのほけん!編集部
会社の計画を背負いながらであるというところがなかなか怖いお話ですね。
田中さん
ちょっと目新しい保障を作って給付をしようとすると、頭を捻って資料を探したり、発生率について大まかにどの程度かというのは推計できるものなのですが、その数字で、金融庁の専門家が納得してくれるのかどうかは別問題です。そこはある意味、客観的な基準がある世界ではないため難しいですね。
コのほけん!編集部
ただ、金融庁の認可折衝のところで商品の内容についてはきちんと揉まれているので、安心してお客さまに提供されているというところはありますよね。
田中さん
そうですね。日本の保険行政の仕組みとして、認可を取ろうとしている保険の商品性が保険契約者の利益を損ねるようなものになっていないかを、この認可折衝できちんと審査されています。
保険契約者の保護の観点、あるいは、認可を取ろうとしている保険商品がマーケットにおいてどうして必要なのかという意義も含めて、保険会社としてきちんと説明ができないと、金融庁は認可を出しません。
当然ながら、ただ単にお金儲けがしたいから新しい保険商品を出すという話は通りませんし、保険商品における契約者の利益というのは、どういうものなのかというレベルのところから見られていて、それが日本全体の保険行政の仕組みとして存在しています。
金融庁と協力しながら、会社だけではなく、お客さまにとって真に有益な商品にしていくことが、商品開発の部門の大事な仕事のひとつだと思います。
アクサのネット完結保険の商品の特徴とは?
コのほけん!編集部
アクサのネット完結保険の特徴を教えてください。
田中さん
アクサのネット完結保険はインターネットで申込が完結する保険ですので、やはり、パッと見でお客さまに分かりやすい商品であることが一番です。
お客さまに分かりやすく、プラスして、必要な保障を自分で揃えられるような形で、商品全体のラインナップから保障内容の設定も含め、シンプルで合理的な保障内容を実現しています。
また、ときにはお客さまのニーズがあるものに対して、リスクを取ってでも保険会社として応えていくということも必要だと思っています。
たとえば、当社の就業不能保険は、名前のとおり60日以上の就業不能状態になった方に対して、就業不能の状態が続くごとに毎月、定額の給付金を払い続けるというタイプの商品ですが、比較的少額の保険料で、場合によっては、かなり大きな額の給付金を受け取ることができます。
入院していないけれど、病気やけが等が原因で働けない状況は頻繁に起こるものではありません。しかし、いざ起きてしまうとすごくその負担が大きいですよね。働けないことで収入が減少することに対するカバーというのは、たとえば、伝統的な医療保険や死亡保険のどちらでもカバーされません。入院費用は入院すればカバーできますが、現実的には、ずっと入院が続くわけではありません。
入院していないのに働けない状態は、ある種その隙間にはまってしまったといえます。付け加えていうと、たとえば障害を負われた方は、障害のない状態と比べると、収入が減少してしまう場合もあります。
当社の60日以上の就業不能保険の保障には、所定の障害状態も含まれていますので、その障害状態が続く限り、ずっと給付金が支払われます※2。相対的に小さい掛け金で、お客さまが本当に困ったとき大きな助けになる、保険らしい保険といえるでしょう。
※2 精神疾患による就業不能状態は通算18回まで
この仕事のやりがいは、わかりやすい喩え(たとえ)でいうと、自分がお腹を痛めて産んだ子供「保険商品」がちゃんと世の中に出て、「保険としての役割を果たして」仕事をしているのを見ると、頑張ってよかったなという満足感があります。
アクサ生命の保険商品の詳細ページ
医療保険
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● アクサのネット完結 がん終身女性プラン
就業不能保険
● アクサのネット完結 働けないときの安心
生命保険(死亡保険)
● アクサのネット完結 収入保障2
● アクサのネット完結 定期保険2
● アクサのネット完結 はいりやすい定期
まとめ(編集部後記)
本インタビューを通して、新しい保険商品が世の中に出てくる過程において様々なデータが使われ、開発の段階で、しっかりと保険として役割を果たせるものかどうか等を保険会社内で検討し設計した上で、金融庁の認可折衝を行い、契約者の保護、契約者の利益という観点で、金融庁がしっかり審査をしていることがわかりました。
アクサのネット完結保険には、お客さまに対してシンプルで分かりやすい保険商品でありつつも、カスタマイズができること、ある程度のリスクを取ってでもお客さまのニーズに保険会社として応えるという商品開発部の姿勢が根底にあるようです。
本インタビューがお客さまの保険選びの参考になれば幸いです。