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自動車保険の中途解約とは?保険料は返ってくる?注意すべきポイントをわかりやすく解説

車を手放したり、より条件の良い保険に乗り換えたりする際に、自動車保険の中途解約を検討することは珍しくありません。

しかし、「支払った保険料はどのくらい戻ってくるのか」「どのような手続きが必要なのか」など、不安や疑問を感じるケースもあるでしょう。

この記事では、自動車保険の中途解約に関する基本知識や手続きの流れ、注意点などをわかりやすく解説します。損をしないためにも、解約に関する基本的なルールを理解しておきましょう。

この記事のポイント

  • 自動車保険は契約期間中の解約(中途解約)が可能であり、解約返戻金を受け取れる場合がある。
  • 解約返戻金は日割計算ではなく短期率に基づいて計算されるため、未経過分の保険料よりも少ない金額しか戻ってこないこともある。
  • 解約後は7日以内に新しい保険へ加入しないと等級がリセットされるため、中途解約後の手続きのタイミングには注意が必要。

自動車保険の中途解約とは?

自動車保険の中途解約とは?

自動車保険の中途解約とは、満期日を迎える前に契約を終了させることです。基本的なルールやメリット・デメリットを理解した上で、本当に中途解約すべきかを検討しましょう。

自動車保険を中途解約できるタイミングとルール

自動車保険は、原則として契約期間中であればいつでも解約が可能です。違約金が発生することもありません。

中途解約をする場合は、契約者本人から保険会社や代理店に連絡が必要です。

自動車保険を中途解約することのメリットと注意点

「無駄な保険料を支払わずに済む」という点が、自動車保険を中途解約するメリットです。

例えば、以下のようなケースで保険をそのままにしておくと、自動車事故を起こすリスクはほとんどないにも関わらず、保険料が発生してしまいます。

  • 車を売却・廃車して手放した
  • 留学や転勤などで車に一時的に乗らなくなった

また、新しい自動車保険に加入する場合も、旧保険を解約しなければ「二重契約」の状態となり、無駄な保険料を支払うことになります。自動車保険の場合、重複して保険を掛けていても補償額が増えるわけではないため、メリットはほとんどありません。

年払いで保険料を払い込んでいる場合も、中途解約をすれば解約返戻金が受け取れるため、保険料の無駄を省けます。

ただし、解約返戻金は日割計算ではなく、保険会社所定の計算方法で算出するため、未経過期間分の保険料がそのまま戻ってくるわけではありません。

また、等級に関しても注意が必要です。一般的に、解約日の翌日から7日以内に新しい保険の契約手続きを開始しないと、等級がリセットされ、6等級からスタートすることになります。他社の自動車保険に切り替える場合は、早めに手続きをしましょう。

長期間車に乗る予定がない場合も「中断証明書」を取得しておけば、10年間は等級を維持できるため安心です。

中断証明書がある・ない場合の新契約の等級

関連記事:自動車保険の等級制度はどんな制度?「無事故」「事故有」の違いとは?

自動車保険の中途解約で保険料は返ってくる?

自動車保険の中途解約で保険料は返ってくる?

自動車保険を中途解約した場合、支払った保険料の一部が戻ってくることがあります。これを解約返戻金(かいやくへんれいきん)とよびます。

ただし、返金の有無や金額は契約内容や解約時期によって異なります。

自動車保険の中途解約で未経過分の保険料はどうなる?

自動車保険を中途で解約した場合、支払った保険料から、既に経過した保険期間分の保険料を差し引いた金額を解約返戻金として受け取れます。

ただし、解約返戻金は保険会社所定の計算式に当てはめて算出するため、未経過分の保険料よりも少ない金額しか戻ってこないこともあります。

中途解約をした場合は、短期率(保険期間の経過割合に応じて定められた率)を用いて解約返戻金を算出するのが一般的です。

なお、解約返戻金が発生するのは原則として一括払い(年払い)をした場合のみで、分割払い(月払い)の場合、返金は発生しません。また、契約方法によっては解約後に保険料が引き落とされるケースもあります。

自動車保険の解約返戻金の計算方法とは?

自動車保険の解約返戻金は、以下の計算式で算出できます。

解約返戻金=払込保険料 ×(1 - 短期率)

以下は短期率の一例です。

解約期間

短期率

7日まで

10%

15日まで

15%

1ヵ月まで

25%

2ヵ月まで

35%

3ヵ月まで

45%

4ヵ月まで

55%

5ヵ月まで

65%

6ヵ月まで

70%

7ヵ月まで

75%

8ヵ月まで

80%

9ヵ月まで

85%

10ヵ月まで

90%

11ヵ月まで

95%

12ヵ月まで

100%

短期率に基づくと、契約初期ほど既経過保険料が高く計算される傾向があり、結果として解約返戻金は月割計算よりも少なくなるのが一般的です。

■ 短期率を用いた計算例
・年間保険料: 120,000円
・保険期間: 1年間
・解約申し出: 契約から4ヶ月経過時点

上記のケースにおける解約返戻金は以下の通りとなります。

120,000円×(1-55%)= 54,000円

もし単純な月割計算であれば、未経過期間8ヶ月分の保険料として80,000円(=120,000円÷12ヶ月×8ヶ月)を解約返戻金として受け取れる計算になりますが、実際に返還される金額はそれよりも少なくなります。

解約返戻金の計算方法は基本的に約款(契約のしおり)に記載されていますが、正確な金額が知りたい場合は保険会社や代理店に問い合わせて確認しましょう。

自動車保険を中途解約する際のポイント

自動車保険を中途解約する際には、手続きの流れを事前に把握しておくと、スムーズに解約が進み、トラブルの発生を防げるでしょう。

中途解約に必要な手続き

自動車保険の中途解約に必要な手続きは以下の通りです。

  1. 保険会社や代理店に連絡する
  2. 解約書類と必要書類を返送する
  3. 解約返戻金を受け取る

中途解約をする際は、基本的に書面での手続きが必要です。保険会社や代理店に連絡をして、解約に必要な書類が郵送されてきたら、必要事項を記入し速やかに返送しましょう。

保険会社に書類が到着し、内容に不備がなければ解約手続きが進められ、解約返戻金がある場合は、指定した口座に後日振り込まれます。

なお、ダイレクト型保険(ネット保険)の場合は、Web上で手続きが完了するケースもあります。

中途解約に必要な書類や情報

保険会社によって異なりますが、一般的に中途解約に必要な書類・情報は以下の通りです。

  • 解約申込書
  • 保険証券(証券番号)
  • 契約者の印鑑
  • 本人確認書類の写し
  • 車検証の写し
  • 解約返戻金の振込先口座情報

必要書類に不足・不備があると手続きが遅れる原因となるため、保険会社の指示に従って正しく提出しましょう。

自動車保険の解約日(効力発生日)

一般的に、自動車保険の解約日は以下のいずれかの時点となります。

  • 保険会社に解約を申し出た日
  • 契約者が指定した日

ただし、解約を申し出た日より前の日付を解約日として指定することはできません。また、数ヶ月以上先の日付は指定できない場合もあります。

また、新しい保険に乗り換える場合は、補償の空白期間や重複期間を防ぐために、新しい保険の責任開始日と現在の保険の解約日を同日に設定しましょう。

自動車保険の保障の空白期間と重複期間

関連記事:ダイレクト型自動車保険に乗り換える際の注意点や手続き方法を解説

まとめ

自動車保険は、満期前でも契約者本人の申し出があれば、いつでも解約が可能です。保険会社に連絡して必要書類を返送するだけなので、手続きも決して複雑ではありません。

ただし、解約返戻金は短期率などを用いて計算するため、未経過分の保険料よりも少ない金額しか戻ってこない可能性があります。

また、解約後7日以内に新しい保険へ加入しないと、それまで積み上げた等級がリセットされてしまうリスクがあります。乗り換えの際は、補償に空白期間や重複が生じないよう、現在の保険の解約日と新しい保険の開始日を同日に設定しましょう。

長期間車に乗らない場合は「中断証明書」を取得すれば、等級を10年間維持できます。

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