社会保険制度などの公的保険と民間保険の違いを知り「万が一」に備えよう
「保険」と一口に言っても、種類は様々。自動車保険や火災保険、健康保険や生命保険。公的保険ってそもそも何?民間保険って何のこと?そんな疑問にお答えします。
本記事のポイント
- 保険は、様々なリスクで発生しうる経済的損失に備えるため、複数人数の加入者が保険料を出し合い、それを資金として、事故の被害に遭った人に保険金・給付金を支払う制度のこと。
- 保険には、国が運営主体(保険者)となる「社会保険制度(公的保険)」と、民間の保険会社が運営主体(保険者)となる「民間保険(私保険)」の二種類が存在する。
- 「社会保険制度(公的保険)」でカバーしきれない部分をカバーするのが「民間保険(私保険)」の役割。
保険とは何か?
まずは、保険がどういうものなのか。その仕組みと種類を見ていきます。
保険の定義
「保険」とは、火災・死亡など偶然に発生する事故によって生じる経済的不安に備えて、多数の者が掛け金を出し合い、それを資金として事故に遭遇した者に一定金額を給付する制度。―デジタル大辞泉
つまり、①「万が一」の時のためにみんなでお金を出し合い、②何かあった時はそこからお金をもらう制度ということになります。これを「相互扶助」と言います。
公的保険と民間保険の違い
相互扶助の仕組みには、おもに国が運営するものと民間企業(保険会社)が運営するものがあり、国(や組合)が運営する保険を「公的保険」、保険会社が運営する保険を「民間保険(私的保険)」と言います。
つまり、公的保険と民間保険の違いは保険の運営母体の違いということになります。
そして、運営元が異なるため、保険の目的や保障(補償)内容が異なります。
国が運営する「公的保険」は、社会保険制度の一環として行われており、「医療・介護・年金」の3分野に分かれます。身近な例を挙げると、ケガや病気で病院に行った時、3割負担※で治療が受けられますよね。これは、医療保険制度と言われ、「誰でも、いつでも、どこでも」保険証1枚で医療を受けられる医療を保障する目的してくれます。
社会保険制度は、あらかじめ「社会保険料」と呼ばれる保険料を国民から集めて、病院で治療を受けた時、介護を受ける時などにお金を給付します。公的保険は、年齢や働き方などに応じて加入が義務付けられるものがほとんどです。
一方、民間保険は保険会社が保険商品を作り、販売しています。
様々な商品があり、保障内容も千差万別です。各社特徴があり、公的保険と異なり、自分に必要な保障のついた保険を選び、自由に加入します。
社会保険制度概要
保障の分野 | 保険の種類 |
医療 | 国民健康保険、(組合)健康保険、共済組合(保険) |
介護 | 介護保険 |
年金 | 介護保険年金国民年金(老齢年金、障害年金、遺族年金)、厚生年金 |
その他 | 労災保険 |
たとえば国民年金は、原則として20歳から60歳までの人が保険料を納めます。多くの人が納めた保険料を集めて、65歳以上の高齢になった人の生活を支える老齢年金として支給したり、障害状態になった人に障害年金を支給したり、亡くなった人の家族に遺族年金を支給したりするのに充てられます。
民間保険のカバー範囲
民間保険は3分野(生命保険、損害保険、医療・ガン保険)に分かれており、各分野のカバー範囲は以下の通りとなっています。
保険分野 | 保険種類 | どんな保険? |
第一分野 | 人の生存または死亡に関し、一定額の保険金を支払うことを約束し、保険料を徴収する保険 | |
第二分野 | 損害保険 | 一定の偶然の事故によって生ずることのある損害を埋め合わせすることを約束し、保険料を徴収する保険 |
第三分野 | 人が疾病にかかったこと等の事由により、一定額の保険金を支払うこと又はこれらによって生ずることのある損害を埋め合わせすることを約束し、保険料を徴収する保険 |
公的保険で補える部分はしっかりと公的保険から補償を受け取れるようにしながら、足りない部分を民間保険で補うという風に、切り分けて考えると保険が探しやすくなるのではないでしょうか。