終身医療保険とはどんな保険?定期型との違いをわかりやすく比較
一定の保険料で生涯の保障を得られることから、近年その人気が高まっている「終身医療保険」。
このタイプの保険には、保障を得られる期間や保険料の他にも、保険料払込期間や解約返戻金の有無など、注目すべき点がいくつかあります。ここでは、
- 終身医療保険の特徴
- 加入するメリット・デメリット
- 加入時に注意すべき点 など
についてわかりやすく解説します。
終身医療保険とは
病気やケガで入院をしたり手術を受けたりした場合などに保険金の給付を受けられる、医療保険。
病気やケガのリスクは年齢や性別に関係なく誰もが抱えているため、加入や見直しを検討している方も多いのではないでしょうか。医療保険にはいくつかの種類がありますが、近年その人気が高まっているのが「終身医療保険」です。
終身医療保険とは
”終身型”の医療保険のこと。
その大きな特徴として、以下の2点があげられます。
特徴① 保障が一生続く
終身医療保険は、保障期間(保険期間)が「終身」となっており、保障が一生続きます。
解約をしたり契約が失効になったりしない限り、被保険者が死亡するまで何歳になっても保障を受けられるのです。
特徴② 保険料が加入時のまま変わらない
終身医療保険は保険料が一定で、加入時のまま変わりません。
ココがポイント
終身医療保険には「契約の更新」がないため、加入時に算出された保険料がそのまま続くのです。
たとえば、30歳の方が終身医療保険に加入した場合、80歳になっても90歳になっても、保険料は30歳に加入したときのまま高くなることはありません。
終身医療保険と定期医療保険の違いを比較
医療保険は、保障期間(保険期間)によって「終身型」と「定期型」の2種類に大別されます。終身医療保険とは上述のように、保障が一生続くもののことをいいます。
定期医療保険とは
これに対して定期医療保険とは「〇〇年間、〇〇歳まで」というように、約定の期間に限り保障を受けられるもののことをいいます。
終身医療保険と定期医療保険の大きな違いは、「保障期間(保険期間)」と「保険料」です。
上述のように終身医療保険は、保障期間(保険期間)が終身であるため契約の更新がなく、保険料が変わることはありません。
これに対して定期医療保険には約定の保障期間があり、一般的に満期時点で契約の更新をする必要があります。保険料は更新時の年齢によって算出されるため、更新の度に保険料が上がります。
ただ、定期医療保険の保険料は、一定の保障期間(保険期間)における病気やケガのリスクをもとに算出されます。
これに対して終身医療保険の保険料は、生涯における病気やケガのリスクをもとに算出されます。そのため若い方が加入する場合、定期医療保険の方が安い保険料で加入できるケースがあるのです。「若い間は保険料を安く抑えつつ病気やケガのリスクに備えたい」という方には定期型医療保険をおすすめします。
終身医療保険の保険料払込期間とは?
終身医療保険の中には、保険料払込期間を選択できる商品があります。
保険料払込期間とは
保険料を払い込み続ける期間のこと。
終身医療保険は保障を受けられる「保障期間(保険期間)」が終身となっていますので、短期払いで保険料を払い込み終えた後も、保障は一生続きます。
終身医療保険の保険料払込期間は、
- 終身払い
- 短期払い
に大別されます。
保険料を一生涯払い続ける「終身払い」
終身払いとは
保険料を一生涯にわたり払い続ける払込方法のこと。
終身払いにすると保険料払込期間が長くなるため毎月の保険料負担は抑えられますが、年金生活になり収入が減少する老後も保険料の支払いが続きます。
生涯保険料を払い込む「終身払込満了タイプ」
終身医療保険の中には、保険料の払込方法は「終身」であるものの、約定の年齢以降の保険料が安くなるタイプの商品もあります。
たとえば「60歳半額タイプ」の商品の場合、保険料の払い込みは一生涯続くものの、60歳以降は保険料が半額になるのです。
保険料を一定期間で払い終える「短期払い」
短期払いとは
〇〇歳まで、〇〇年間、というように短期間で一生分の保険料を払い込んでしまう払込方法のこと。
終身医療保険の短期払いはさらに、「歳満了タイプ」と「年満了タイプ」の2種類に分けられます。
60歳または65歳などで払込を終える「歳満了タイプ」
「歳満了タイプ」とは、60歳や65歳など、約定の年齢をもって保険料の払い込みを終える払込方法のことをいいます。
たとえば「60歳払込満了タイプ」の払込方法を選択した場合、加入時より60歳まで保険料を払い込み、それ以降の保険料負担はありません。
10年または20年などで払込を終える「年満了タイプ」
「年満了タイプ」とは、10年間・20年間…というように約定の年数のみ保険料を負担する払込方法のことをいいます。
たとえば、10年満了タイプの払込方法を選択した場合、加入時より10年間だけ保険料を払い込み、その後は保険料を負担する必要がありません。
歳満了タイプや年満了タイプはこんな方におすすめ
- 収入が減少する老後の保険料負担をなくしたい方
- 年老いてもなお保険料を払い込み続けられるかどうか不安な方
ただし、保険料は払込期間が短くなればなるほど高くなりますので、約定の期間中、無理なく払い続けられるかどうか慎重に検討することも大切です。
また終身医療保険の中には、保険料を一括で払い込んでしまう「全期前納」や「一時払」を選択できる商品もあります。まとまったお金があり一生の保障を用意しておきたいという方は、こういった払込方法を検討してみてもいいでしょう。
終身医療保険のメリット・デメリット
終身医療保険への加入や乗換え、見直しを検討するにあたっては、この種の保険の良い面も悪い面も正しく理解しておく必要があります。
では、終身医療保険にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
メリット① 保障が一生続く
終身医療保険最大のメリットといっても過言ではないのが、「保障が一生続く」という点です。
かつては定期医療保険が主流でしたが、この種の保険は更新限度年齢が70歳や80歳となっている商品が多く、肝心なときに保障を受けられない、というケースも少なくありませんでした。
ココがポイント
この点、終身医療保険は保障が一生続きますので、病気やケガのリスクが高くなる高齢になってからも、保障を受けられるのです。
メリット② 保険料が上がらない
終身医療保険には「保険料が上がらない」というメリットもあります。
この種の保険には定期型の商品のような更新がないため、加入時に算出された保険料がそのまま一生変わらないのです。
ココがポイント
保険料は加入時の年齢に比例して高くなりますので、10代、20代といった若いうちに終身医療保険に加入すると、安い保険料で一生の保障を用意することができます。
「貯金は別の方法でするため保険に貯蓄性はいらない」という若い方は、安い保険料で一生涯の保障を得られる、掛け捨て型の終身医療保険への加入をおすすめします。
関連記事:貯蓄型・掛け捨て型の医療保険はどっちが人気でおすすめ?その違いとは
デメリット① 見直しや乗換えにより保険料が高くなる
既に終身医療保険に加入している人が別の商品に乗り換えたり、内容の見直しをして保障を追加したりする場合、保険料が高くなる可能性があります。
乗り換えや保障の追加にあたってはその時点での年齢をもとに保険料を算出するため、既に加入している商品の保険料と比較すると、どうしても高くなってしまうのです。
デメリット② 医療事情の変化に対応できない可能性がある
終身医療保険のデメリットとしては、保障内容が医療事情の変化に対応しきれない可能性がある、という点も挙げられます。
近年は、入院日数が短縮化傾向にあったり、通院治療できる病気が増えたり、というように医療事情がめまぐるしく変化しています。
ココに注意
そのため、例えば20代の方が加入した終身医療保険の保障内容のままでは、数十年後に十分な保障を得られない可能性があるのです。
医療保険の保障内容はその時代の医療事情に合ったものでなければ意味がありませんので、定期的な見直しをすることが大切です。
終身医療保険に加入するときの注意点
終身医療保険への加入を検討するにあたっては、「保障内容」と「保険料」に注意しましょう。
注意⒈ 保障内容
まず保障内容についてですが、終身医療保険の保障内容は、今後予想される医療事情の変化に対応できるものである必要があります。
- 短期入院でも十分な保障を得られるよう入院一時金特約を付加する
- 通院治療にも対応できるよう通院特約を付加する
といったことを検討してみてはいかがでしょうか。
注意⒉ 保険料
次に保険料についてですが、終身医療保険の保険料は、無理なく払い続けられる金額に設定することが大切です。
老後は収入が減少しますので、終身払いにする場合は働き盛りの今ではなく、老後もその保険料を払い続けられるかどうか、慎重に考える必要があります。
関連記事:20~50代の生命保険料の相場・死亡保険金の平均は?毎月いくら払ってる?
終身医療保険の解約時に解約返戻金は受け取れる?
医療保険は、解約返戻金や満期保険金の有無によって、「掛け捨て型」と「貯蓄型」に二分されます。
終身医療保険のほとんどは掛け捨て型ですが、中には解約返戻金や満期保険金のある貯蓄型の商品もあります。こういったタイプの商品に加入している場合、解約時に約定の解約返戻金が支払われます。
解約返戻金がある終身医療保険はとても魅力的ですが、掛け捨て型の商品に比べると保険料が割高です。また、終身医療保険は一生の保障を用意するためのもので、基本的に解約を前提としていません。
ココに注意
そうすると、解約返戻金のある商品に加入しこれを解約しなかった場合、ただ高い保険料を払い込み続けることになってしまうのです。
もちろん、他商品への乗換えに伴い既に加入している終身医療保険を解約する、というケースもありますが、健康状態の問題で他商品への乗換えが難しい可能性もあります。
以上の理由から終身医療保険に関しては、貯蓄性を重視する必要性は低いといえるでしょう。
終身医療保険は必要?医療保険のおすすめな選び方
医療保険選びにおいて悩むのが、
- 「終身型」にするのか
- 「定期型」にするのか
という点です。実際、10代・20代といった若い世代の方の中には「今から終身医療保険なんていらないのではないか」と思われる方が少なくありません。
実のところ、終身医療保険は必要なのでしょうか。以下に該当する方には、終身医療保険への加入をおすすめします。
終身医療保険はこんな方におすすめ
- 安い保険料で加入できる若いうちに、一生のベースとなる保障を用意しておきたい方
- 保障が一生続く保険に1つは加入しておきたい方
- 将来の保険料負担をできるだけ抑えたい方
- 出産の予定がある方
女性は帝王切開や切迫早産などの既往歴があると、一般の医療保険への加入が難しくなることがあります。そのため出産の予定がある女性にも、終身医療保険への加入をおすすめします。
これに対して以下に該当する方は、定期医療保険への加入を検討してみてもいいでしょう。
定期医療保険はこんな方におすすめ
- 若い間は、安い保険料で手厚い保障を用意しておきたい方
- 医療保険を活用して貯蓄もしたい方
関連記事:持病があっても入れる保険のメリットやデメリットや保険に入れない病気などを解説
まとめ
終身医療保険は、生涯にわたり保障を受けられる、終身型の医療保険です。
ココがポイント
またこの種の保険は保険料が加入時のまま一定で、変わりません。商品によっては保険料を短期間で払い込んでしまうことで、老後の保険料負担をなくすことも可能です。
ただし、終身医療保険にはこういったメリットがある反面、他商品への乗換えがしにくいなどのデメリットもあります。
そのため終身医療保険に加入するときは、保障内容だけでなく、本当に自分のニーズに合ったものかどうか、商品のメリット・デメリットについて正しく理解したうえで慎重に検討することが大切です。