更新日:2024年5月20日
ペットは単なる愛玩動物という枠を超えて、家族の一員となっています。 人の場合、ケガや病気で医療機関を受診した場合、健康保険制度に加入しているので、治療費の一部を自己負担すれば治療を受けられますが、ペットには人のような国民皆保険の制度がなく、全額自己負担となります。そのため、飼い主の治療費の負担が大きくなります。 治療費の負担が大きくなっても治療を受けさせたい。そんな時の経済的な負担を軽減するのがペット保険です。 治療費は実際どのくらいかかるのか、ペット保険の補償内容や保険料、保険を選ぶ際の注意点などを解説します。
ペット保険は、人の医療保険のようにペットの治療費の負担をカバーする保険です。
多くは犬や猫に対する商品ですが、鳥やウサギなどの小動物や、亀やカメレオンなどの爬虫類まで、対象範囲の広い商品もあります。
治療費実費を負担するほかに、
・ペットが亡くなった場合の葬祭費用
などのオプションが付いている商品もあります。
大切な家族であるペットには健康保険の制度がありません。
病気やケガで動物病院を受診した場合、治療費の助成はなく、全額飼主の自己負担となります。
私たちが医療機関で治療を受けた場合は、ひとつひとつの医療行為に対して、厚生労働大臣によって診療報酬が決められていて、治療費が決まる仕組みです。そのうち、自己負担分(原則3割)を医療機関に支払うことになっています。
ペットの治療には健康保険制度がないことに加え、人の医療費に該当する診療報酬制度がないので、動物病院ごとに治療費の設定が違い、予想以上に高額な治療費を請求されることもあります。
全額自己負担になることを考えると、経済的負担を抑えるために、人の医療保険に該当するペット保険は必要な保険といえます。
ペットに多い病気にはどのような病気があるでしょうか?
ペット保険最大手のアニコム損保では毎年大規模な動物疾患の統計データを発表しています。
そのデータによると、犬・猫で保険金請求が多い病気は以下の通りです。
1位 消化器疾患
・ 腸炎
・ 嘔吐・下痢
・ 寄生虫・らせん菌の感染
・ 消化器・食物アレルギー
・ 消化器のガン など
食欲や元気がない場合、嘔吐の回数が多い場合、下痢の便に血が混じっている場合には早めの受診をおすすめします。
2位 皮膚疾患
・ アトピー性皮膚炎
・ 脱毛症
・ 皮膚腫瘍(ガン) など
犬が痒がっている、皮膚が赤くなっている、毛が抜けている場合には、受診が必要です
3位 耳の疾患
・ 中耳炎
・ 内耳炎 など
特に多いのが外耳炎です。
外耳炎を放置しておくと、慢性外耳炎や中耳炎を引き起こします。中耳炎は悪化すると、脳に炎症が波及することがあります。
出典:アニコム家庭どうぶつ白書2022より抜粋
1位 消化器疾患
・ 腸炎
・ 嘔吐・下痢
・ 寄生虫・らせん菌の感染
・ 消化器・食物アレルギー
・ 消化器のガン など
2位 泌尿器疾患
・ 慢性腎不全
この2点は、猫の泌尿器系疾患の中で特に多い病気です。
猫下部尿路疾患は、膀胱炎や尿石症など、尿路の下部で起こる病気の総称といわれています。
慢性腎不全は高齢の猫に多く、症状が出る頃には既に機能が低下していますので、定期的な腎臓病健診が大切です。
3位 皮膚疾患
・ ノミアレルギー
・ 皮膚糸状菌症
皮膚腫瘍はかなり稀です。かゆみを伴う場合には、アレルギーが関与していることが多いです。
出典:アニコム家庭どうぶつ白書2022より抜粋
かかりつけの動物病院は必須
いずれの病気も早いうちに受診することで、診療費は安く抑えられます。
ですが重症になると入院手術なども必要となり、検査費用も含め治療費がかさみます。
ペット保険はそんなときのための備えですが、ペットの苦痛を減らす意味でも、日常の様子の変化には注意を払い、軽症の内から相談受診するかかりつけの動物病院は必須です。
次にペットに多いケガには、どのようなものがあるでしょうか。
犬に多いケガは、
・ やけど
などです。
家の中で飼っていたとしても、階段やテーブル等から落ちて骨折してしまうケースもあります。
特にチワワやトイプードルなどの小型犬は骨が細いので注意が必要です。
誤飲誤食にも注意
誤食も保険請求の理由として多いです。
誤食したものによっては、直ちに催吐処置が必要なもの、内視鏡や開腹手術が必要な場合もあります。
犬が誤食したら、すぐに動物病院に連絡し、指示を仰ぐようにして下さい。
やけども要注意
やけどにも要注意です。
以下のような家電器具でのやけどもあります。
・ 温風ヒーターなどの暖房器具
・ 電気ポット
・ トースター など
皮膚が赤くなっている場合には、早急に受診しましょう。
猫に多いケガは、犬同様
・ 家具からの落下やドアに足を挟んでしまっての骨折
などです。
感電は電気コードをかじってしまい起こります。コードカバーを付けるなど予防が必要です。
猫は頭がよく、扉や箱を開けてしまうこともあります。
誤飲誤食を防ぐためにも、危険なものには鍵をかけておくことも大事です。
公益社団法人 日本獣医師会が平成27年に公表している、家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査によると、以下のことがわかります。
・ 1万円未満が約61%と最も高い
・ 1~2万円未満が約27%
・ 2~3万円未満が約9%1
・ 1万円未満が約85%と突出している
出典:公益社団法人 日本獣医師会『平成27年度 家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査』より抜粋
上記のグラフからもわかるとおり、1ヵ月に動物病院へかける費用はほとんどの人が1万円未満でした。
ですが、『これまでに1つの病気にかかった時の治療費の最大額を教えてください。』という質問に対して、全体の平均額は58,993円でした。
・ 大型犬:74,893円(最も高い)
・ 猫:54,197円(最も安い)
年齢別
・ 13才以上:80,912円(最も高い)
出典:第3回 家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査より抜粋
平均額をみる限り、1つの病気に対してかかる治療費の平均額は最高でも8万円前後。概ね5万円~10万円です。
「この位の負担だったら、ペット保険に入らなくても何とか払えるのでは?」という考えも浮かびます。
ですが、あくまでこの数値は平均値です。
下表を見ると、以下のことがわかります。
・ 20万以上払ったことがある人も5%程度はいる
出典:第3回 家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査より抜粋
これらのデータから、日常的によく起こる治療では大きな費用がかかるとは言えませんが、重篤な病気にかかった場合、特に高齢のペットの場合は、多額の費用がかかっているということがわかります。
一般社団法人ペットフード協会2021年全国犬猫飼育実態調査によると、犬・猫ともにコロナ前の2019年に比べ、2020年、2021年ともに飼育頭数が増加となっています。
新型コロナウィルスの影響で、家庭内での生活が増え、ペットとの生活から癒しを求めている傾向があるのかもしれません。
ペット保険大手のアニコムが毎年発刊している家庭どうぶつ白書によると、
・ 犬猫の頭数の合計:1,606万頭
・ 15歳未満の人口:1,478万人
というように、犬猫と若者の数が逆転しています。
単身世帯が増える中、ペットの家族における存在は大きくなっているようです。
ペットの数が増えるとともにペット保険の加入率も上がっていますが、欧米に比べ日本の加入率はまだまだ低く、10%台といわれています。
現在ペット保険を扱っている保険会社は15社(内損害保険会社6社 少額短期保険会社9社)で、生命保険会社とタイアップしている損害保険会社も数社あります。
今後もペットの医療の高度化に伴い、治療費の上昇が予想されることから、ペット保険加入率は増加傾向が見込まれます。
ペット保険の補償内容は、
といったように、補償の割合が選べるものが主流です。
従来の補償割合は50%、70%が主流でしたが、近年は90%、100%を払う商品も発売されています。
ペット保険は入院・手術費用がかかった時に割合に応じて支払う補償が基本ですが、通院費用を基本補償に加えることができる商品もあります。
入院・手術、通院費用には、
・ 1年のうちに何回まで
・ 1年で通算いくらまで
といったように、制限を設けている商品が多いです。
年間上限額は決まっているものの、1日の限度額や回数は無制限という商品もあります。
オプションとして付帯できる特約に、賠償責任保険があります。
・ 散歩中に他の犬にかみついてしまい、ケガをさせてしまった場合
といったケースで治療費などを支払える特約です。
この特約は、自動車保険や火災保険などに付帯できる「日常生活賠償責任」を備えてあれば、ペットもご家族とみなして、補償の対象になりますので、改めて付帯する必要はありません。
加入をする前に他の保険の特約をチェックしておきましょう。
近年オプションとして増えてきたのが、葬祭費用を支払われる特約です。
ペットが亡くなった場合、多くの自治体では、市町村の斎場で火葬をし合同墓地へ埋葬してくれます。
費用は体重によって違いますが、1万円以内で行えるところが多いようです。
ですが、家族の一員だったペットの葬儀をきちんとしてあげたいというニーズに応え、火葬を執り行ってくれる民間業者が増えています。
このような個別火葬では3万円程度の費用がかかることから、葬祭費用を支払われる特約が増えたと考えられます。
また、実際の葬祭費用の他に仏具の購入なども支払対象で、上限額内で実費を支払われます。
ですが、ペットの年齢が10歳を超えると付帯できない場合もありますので、注意が必要です。
ペット保険を選択する際にチェックしておきたいポイントがいくつかあります。
ネットのランキングだけで判断するとニーズと違う保険に加入してしまう恐れもありますので、注意すべきポイントを抑えておきましょう。
保険商品には免責金額が設定されている商品が多くあります。
免責金額(めんせききんがく)
保険事故(保険会社が保険金を支払う事故)が起きた際に、自己負担をしなければならない金額のこと
例えば自動車保険で考えると、
↓
損害額:50万円とすると
・ 保険会社から支払われる保険金:40万円
・ 免責金額:10万円(自己負担)
となる仕組みです。
ペット保険も、免責金額が設定されている商品が多くあります。
免責がついている商品の例
1日あたりの治療費 | 支払い |
---|---|
3,000円以上 | 3,000円を差し引いた保険金 |
3,000円以下 | なし |
他にも、治療費の免責が30,000円に設定されている商品もあります。
1回の治療にかかった治療費が30,000円以下の場合請求ができない商品です。
また、免責のある商品は保険料が安く抑えられています。
自分の貯えから支払っても日常生活に支障がないと思われるのでしたら、高額な治療費がかかった時の補填を目的として、毎月の費用を抑えた免責付商品も選択肢のひとつといえましょう。
新規で加入できる年齢は、保険会社によってまちまちですが、8歳から12歳位までを設定している会社が多いようです。
加入後、継続年齢に制限のある会社はほとんどなく、一生涯更新を続けていけます。
近年、葬祭費用を付帯できる商品が発売されていますが、葬祭費用の特約に限っては、10歳以降の更新はできない制限があります。
また、保険金請求できる上限まで保険金を受取ってしまうと、その時点で保険が終了し、次年度更新ができない商品や、毎年の継続時に引受審査を行う会社もあるようです。
初年度の告知審査のみの会社が多いですが、継続時審査で更新ができない場合がある会社もありますから、事前確認が必要です。
ペット保険の保険期間は、ほとんどの会社が1年です。
2年目以降は、初年度のように健康状態を告知する手続きは不要の会社が多く、更新していきます。
保険料は生まれたばかりの0歳が安く、2歳から3歳にかけて更に安くなった後、年齢が上がるごとに高くなっていきます。
保険料が上がっていく仕組みは商品により違い、1年ごとに上がっていく商品や、数年同じ保険料で段階的に上がっていく商品などさまざまです。
小型犬の年払保険料をグラフにしてみるとわかる通り、生まれてすぐは人と同じで若干リスクが高いため保険料は少し高めですが、1〜2歳で少し下がります。
そして2歳から順次上昇していき、10歳になると2歳の3倍ほどになります。
病気やケガのリスクと比例していることがわかります。
出典:あいおいニッセイ同和損保のペット保険「ワンにゃんdeきゅん」犬A通院あり90%補償一時払の保険料表
ペット保険の補償範囲は、家庭で飼育されているペットに限られており、闘犬、猟犬、興行犬などは補償の範囲外です。
会社によって異なりますが、
・ 生後30日〜45日頃から加入可能
・ 新規加入は10歳~12歳頃まで可能
です。
継続契約に関しては年齢制限を設けている会社は少なく、大きな病気で継続をお断りするケースもありますが、一生涯更新することは可能です。
ペットが病気やケガになった時、支払いできるのは、日本国内の動物病院で入院または手術、通院を行った場合に限るので、外国での治療は対象外になります。
動物病院以外での施術も支払はできません。
一般的な保険と同様、戦争などが原因、また地震噴火津波が原因のケガも対象になりません。
・ 狂犬病
・ 犬ジステンパーウィルス感染症
・ フィラリア症
など、各種感染症は支払できない病気です。
各種予防接種で事前に防ぎましょう。
補償開始日は商品によってまちまちです。
・ 申込日の翌日1日から開始(A社)
・ 申込日の30日から60日までの間に任意指定日に開始(B社)
・ 申込日後査定完了次第開始(C社)
・ 申込完了次第開始(D社)
など、保険会社によってさまざまです。
商品を選択する際、補償開始日は重要です。なぜなら、多くの商品で病気の支払いに待期期間があるからです。
申込日によっては申込から2ヵ月間、病気に対する補償が開始されないことになります。
いつ起こるかわからないケガや病気に備える保険ですから、補償の開始は早い方がいいのではないでしょうか。
待機期間(たいききかん)
保険始期日から一定の間、補償が効かない期間のこと。免責期間ともいう。この期間にかかった傷病や先天的な疾病については補償の対象外となる。
治療費の補償の他に、保険加入者にはさまざまな付帯サービスがあります。
ペットは体の症状を言葉で伝えることができません。
いつもと様子が違うときや、急に食欲が落ちたときなど、不安になった際、電話やチャット、LINEなどで、獣医師や看護師に相談できるサービスです。
LINEの場合、写真や動画を見てもらうことができ、不安解消に役立ちそうです。
病気やケガ以外にもペットを育てる過程の悩みはつきません。
他人がくると興奮してしまい吠え続ける、飼主の言いつけを全くきかない、といった、しつけに関する相談を受けてくれるサービスがあります。
また、病気予防のために腸内細菌を無料で定期的に調べてくれる会社もあります。
大事にしていたペットが迷子になってしまった時の捜索サポートをしてくれるサービスです。
捜索の無料期間の制限はありますが、専門捜索会社と連携し捜索にあたってくれます。
民間のペット捜索会社に頼むと1日3万円以上の費用がかかりますから、お得なサービスです。
一般的な保険同様、価格だけで選ぶのはNGです。
補償してくれる範囲、保険料の推移、加入のしやすさ、保険金請求の便利さなど、総合的に判断しましょう。
補償内容については先に説明しましたが、選ぶ際のチェックポイントは、
・ 限度額の設定
・ 告知内容
です。
補償割合は50%、70%・90%が主流ですが、100%補償の商品もあります。
人の健康保険制度と同様に考えれば、70%補償で自己負担3割となりますから、妥当な選択といえます。
但し、病院によって診療費の差が大きいため、手術を伴う入院などの場合は、30万円を超える治療費がかかることもあります。
支払いを気にせず治療を受けたいのであれば、90%、100%の商品を選択しておけば、費用の負担を気にすることなく治療をしてあげられるでしょう。
通院・入院の1日の限度額や年間限度日数が設定されている場合、例えばペットに悪性腫瘍が見つかった時に、
・通院頻度が多い
といったことで限度を超えてしまうこともあります。そういった場合は無制限の選択がいいでしょう。
特に、最も高額になりやすい手術費用に関しては、無制限を選んだ方が賢明です。
1回の手術費用が30万円を超える例は特別ではありません。
限度額が10万、15万ですと、自己負担がかなり多くなり、保険に加入した意味がなくなってしまいます。
自分の貯えからどれくらい負担できるか、よく考えて商品を選びましょう。
毎月の負担額は安い方がいいですが、ニーズに合わない保険では意味がありません。
比較サイトなどを参照し、いくつかピックアップした中で価格の安い商品を選びましょう。
ペット保険は加入時点の保険料が生涯続くわけではなく、毎年更新があり、保険料が上がっていく商品です。
・ 数年のくくりで上がる商品
・ 高齢になると大きく上がる商品
・ 高齢になっても緩やかに値上がりする商品
など様々です。
加入時点の保険料だけでなく、15歳位までの保険料総額を比較してみると、費用負担が少ない商品を選択できるでしょう。
免責金額がある商品すなわち自己負担額が発生するペット保険商品もあります。
基本的には自己負担額はない方が使い勝手はいいです。
免責金額の考え方にはふたつあります。
(2)免責金額を超えたら支払金額を全額支払う方法
です。
免責3万円、治療費10万円、70%補償の場合、それぞれの受け取り方の違いは以下の通りです。
7万円ー3万円=4万円を受け取る
7万円を受け取る
免責金額のある商品を選ぶ場合は、保険金受取方法も確認しておきましょう。
保険会社によって、保険料を割り引いてくれる場合があります。
割引の種類 | 内容 |
---|---|
多頭割引 | 同じペット商品に2頭以上加入すると割引が受けられる。2~3%程度。 |
インターネット割引 | インターネットから加入すると、契約年の保険料が割引される。10%、または3,000円割引など。 |
マイクロチップ割引 | マイクロチップを装着済みの場合割引が受けられる。5%程度。 |
自動車・火災保険セット割引 | 損害保険会社加入の自動車・火災保険いずれかに加入していて契約者が同一であれば割引が受けられる。5%程度。 |
加入実績割引 | 前年度保険金支払いがないと割引が受けられる。5~10%程度。 |
反対に、前年度の保険金支払いが複数回あると5%程度割増になる保険会社もあります。
使える割引制度は上手に利用しましょう。
ペット保険は一般の保険に比べ、代理店や窓口を通じての加入より、インターネットを通じて見積り、申込をする場合が多く、加入手続きは比較的簡単です。
比較サイトも充実しており、単純な比較はできますし、自分のペットの保険料比較も容易にできます。
ですが、保険金が支払われない場合や、支払い制限などの詳細をインターネット上で検証するのは難しいようです。
少し時間をかけてもよければ、何社か資料請求をして詳細を検証・比較してみるといいでしょう。
反対に、保険代理店を窓口にして加入するケースもあります。
インターネットで調べることが難しい情報などは、担当者に詳しく訊くのもいいかもしれません。
保険金の請求方法
保険金請求は、
・ サポートデスクへの電話
・ 保険会社のホームページから
などツールは様々ですが、請求方法は面倒ではありません。
加入に必要な書類
基本的に必要な書類は、
・診療明細書
です。
内容によっては、保険会社が病院へ照会し時間がかかる場合もありますが、診断書などの提出は原則不要です。
精算方法
通常の請求方法は、治療費の全額を一旦動物病院に支払い、後日保険会社に保険金を請求し受取る流れです。
ペット保険のうち数社では、動物病院で支払う際に、受取るべき保険金を治療費から差し引いた分のみ支払う窓口精算ができる商品があります。
窓口精算ができるのは、保険会社と提携している動物病院に限られます。
人の健康保険証のような、保険会社発行の保険証の提示やスマホ内の契約内容提示で、窓口請求ができる仕組みです。
治療費が高額になってしまう場合には、自己負担分だけ払えば済むので負担が少なく、便利な仕組みといえます。
ただし、提携外の病院では通常の請求方法になるので注意しましょう。
病院に行き施術をしてもらっても、支払対象とならないことがいくつかあります。
人の医療保険でも同じですが、
・定期検診などの健康診断
などは対象外です。
望まない妊娠や、生殖器の疾患を防ぐために、避妊や去勢手術を行う場合が多いかもしれません。
ですが、これらは手術であっても支払対象外です。
また、妊娠・出産にともなう治療も同様に支払対象外です。
歯の治療は対象になることが多いと思います。歯のクリーニングが対象外になります。
乳歯抜歯や不正咬合は先天的な要素ですので、適応外になります。
令和4年6月1日から、ブリーダーやペットショップ等で販売される犬や猫については、マイクロチップの装着が義務化されました。
そのため、ブリーダーやペットショップ等で購入した犬・猫にはマイクロチップが装着されています。
ですが、他者からペットを譲り受けた場合は、自費でマイクロチップを装着することになります。
その場合の費用は補償の対象外です。
他にも
・ 治療費以外の夜間休日診療などの割増費用
・ 声帯除去
・ 断尾および美容整形にかかわる手術費用
などが支払対象外となっている会社があります。
対象外の範囲は、保険会社ごとに若干の違いもあるので、確認しておきましょう。
ペット保険ではほとんどの会社で始期日から30日間の待期期間が設けられています(待期期間のない商品も少なからずあります)。
・待期期間は病気の治療が対象で、ケガの治療には待期期間がない
・待期期間に発病してしまった病気に関しては、支払対象外
・待期期間終了後も、待期期間中に発病した病気に関する治療は支払対象外となることがある
・2年目以降継続後も支払対象外となる商品もある
申込時に確認しておくといいでしょう。
ペット保険は損害保険会社や少額短期保険会社などが引き受ける商品ですが、ペットの治療費をまかなうことが目的の補償内容のため、医療保険に近い引受け方をします。
どの商品にも言えることですが、保険加入の条件のひとつとして、「原則健康体であること」と記載されています。
人の医療保険の場合、告知項目に該当することがあり「はい」という回答があった時は、その項目について、詳細に記入するステップがあります。
病気の原因、治療の経過、現在の数値などを告知したうえで査定を行い、引受の可否を決める流れです。
持病を持っている人でも、告知内容によっては、無条件で引受けられることもありますし、特定の部位の病気を不担保にする条件で引受けることもあります。
ペット保険の告知は、少し様子が違います。
最初に申し上げた通り、原則健康体が加入の条件ですから、人の医療保険と比べると少し厳しい告知内容となっています。
A社の告知項目を例示してみましょう。
現在、治療中もしくは経過観察中の病気やケガはありますか?
または、過去3か月以内に動物病院にて病気、ケガまたは何らかの症状のため診察を受けたことはありますか?
この質問に「はい」と答えることがあれば、「お引受けできません」となってしまいます。
治療中ではなくても、3か月に1度経過観察中だったり、医師の指示で療法食を食べている場合も該当になります。
過去に下記の病気やケガであると診断(疑いを含む)されたり、治療を受けたことがありますか?
この質問も「はい」であれば、「お引受けできません」です。
下記の病気という中に、心疾患、椎間板ヘルニア、糖尿病、腎疾患なども含まれていて、投薬治療をしている場合は加入が難しいです。
過去に下記の病気やケガであると診断(疑いを含む)されたり、治療を受けたことがありますか?
この質問は、「はい」に該当すると、その部位のみ、補償の対象外とする条件で引受けるという項目です。
2の項目よりよくある病気が列挙されています。猫によく発症する尿石症、アレルギー性の皮膚疾患、外耳炎、乾性角結膜炎などです。
保険会社によって告知項目が違いますから、事前に確認しておきましょう。
また、治療中の場合は、完治するまで待ち、条件がつかない状態で加入した方が得策です。
生命保険文化センターの2021年度生命保険に関する全国実態調査によると、日本の医療保険・医療特約の加入率は93.6%にも及びます。
ペット保険の加入率は10%台という結果を見ると、家族同様とはいえ、普及はこれからというところです。
ペット保険を扱う保険会社少額短期保険に多く、保険会社の統廃合も頻繁に行われ、新商品も次々に出ています。
ネット完結の商品が多いですが、補償内容を比較確認しながら、ニーズに合った商品をじっくり選択しましょう。
ペット保険をテーマにした記事の一覧です。『ペット保険の必要性とは?』などの話から基礎知識の解説など、役立つトピックスを掲載しています。