20代の生命保険選びのポイントは、独身か既婚かで大きく違う!
20代、学校を卒業して就職が決まると、「社会人になったのだから責任を持たないといけない。保険にも入っていた方がいい」などと人に勧められることはあります。しかし、保険は「滅多に起こらないけれどもし起こった時、経済的損失の大きいものに対して備える」というのが本来の役目です。
この本来の役目を踏まえ、この記事では20代の方に向けて、独身か既婚かといったライフスタイルに合わせて、本当に必要な生命保険の選び方を解説します。
この記事のポイント
- 20代において、死亡保険の必要性は未婚・既婚か、扶養家族の有無で大きく異なる。扶養家族がいなければ必要性は低いが、いれば必須の保障として検討したほうがよい。
- 医療保険は、20代の入院確率の低さや入院日数の短さから、十分な余裕資金がある場合は優先度が低いといえる。貯蓄が少ない場合には検討するとよい。
- がんも20代の罹患率は低いが、30代以降、特に女性は罹患率が上昇する傾向にあるため、自身の状況や家族歴を考慮しがん保険を検討するとよい。就業不能保険は、会社員よりも傷病手当金のないフリーランスや個人事業主におすすめ。
20代に必要な保険を考えてみる

まず、20代で生命保険に入っている人はどのくらいいるのでしょうか。
生命保険文化センターの調査によると、20代で生命保険(※全生保)に入っている人は、男性が46.4%、女性が57.1%です。
20代の半数以上の人がすでに生命保険に入っていることに、驚いた方も多いのではないでしょうか。では、20代の人にとっての、必要な保険とはいったい何でしょうか?しかし、その前に考えたいのは、20代の人には、本当に保険が必要なのでしょうか?
20代の時、学校を卒業して就職が決まると、「社会人になったのだから責任を持たないといけない。保険にも入っていた方がいい」などと人に勧められることはあります。でも、会社に就職をしたことが、保険に入る理由にはなりませんし、必要もないと思います。20代というのは、死亡リスクも、病気になるリスクも低いので、まだ必要性が低い時期だからです。
そもそも保険というのは、何のために入るのでしょうか?それは「滅多に起こらないけれどもし起こった時、経済的損失の大きいものに対して備える」というのが本来の役目です。これに当てはめて、20代に必要な保険を考えてみましょう。
死亡保険はどんな家庭にいくらぐらい必要なのか
未婚で子どもがいない場合には、死亡保険に入る必要性は低いです。つまり、もし死亡したときに、経済的に困る人がいなければ、死亡保険というのは必要がありません。
しかし、結婚をして、子どもがいる場合には、死亡保険は必須の保障だと言えます。子ども一人あたり、教育費や生活費をあわせて最低2000万円ぐらいかかります(家庭によって大きく違ってきますが)。
このように、もしもの場合の必要保障金額が大きい場合は、貯蓄だけで対応できないかもしれません。これはもう保険で備える必要があります。
結婚をして、夫婦共稼ぎのケースでは、どちらかが死亡したとしても、すぐに生活費に困るという状況にはならないかと思います。とはいえ、夫婦二人の収入があったのが一方だけになるというのは収入減です。
保障金額としてはそれほど多くなくても大丈夫ですが、ある程度の保障を定期保険で備えておくのはいかがでしょうか。妻が専業主婦の場合には、保障額を少し多めに設定しておけば大丈夫です。
関連記事:20~50代の生命保険料の相場・死亡保険金の平均は?毎月いくら払ってる?
医療保険は入った方がいいの?
生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」によると、自分自身についての不安では、「自分が病気や事故にあうこと」がトップになっています。
20代の平均入院日数はどのくらいなのでしょうか。厚生労働省の患者調査の結果を見てみると、20代の平均在院日数は20~24歳では12.7日、25~29歳では9.4日でした。
ちなみに、20〜24歳で入院した人は対10万に対して137人、25〜29歳は182人でした。ということは入院する確率としては0.1〜0.2%ぐらいです。入院日数が短く、入院する確率も低いのであれば、20代の治療費の自己負担額はそれほど多くないと考えられます。健康保険があるので、3割の自己負担です。
さらに、医療費については日本には高額療養費制度があるので、一般的な所得の人は、月額9万円以上はかからないようになっています。ですから余裕資金が50万円ぐらいある人にとっては、じつは医療保険というのは優先度の低い保険なのです。
余裕資金があまりないという人は、入院の備えが必要になりますので、医療保険に入ることを検討してください。その場合でも、余裕資金が貯まってきたら、医療保険は解約しても大丈夫です。
関連記事:高額療養費制度は医療費がいくら以上から使える?自己負担額の引き上げ決定で今後どうなる?さらに医療費の負担を軽くする制度も紹介!
がん保険は必要なのか?
では、がん保険はどうなのか?と言うことですが、国立がん研究センターの調査によると、20代のがん罹患率は人口10万人あたり31.1でした。がんになる確率としては低いため、まだ20代でがんの心配をそんなにする必要はないようです。
ただし、30代からの女性は、乳がん、子宮がんなどの罹患率が1%に上がるので注意が必要になってきます。
関連記事:女性向けがん保険って必要?20代〜50代の必要性と選び方を比較
フリーランスの人は就業不能保険がおすすめ
昨今、働けなくなった場合の保険が注目されるようになってきました。病気やケガで働けなくなった時に保障があるのが「就業不能保険」です。就業不能保険とは、働けなくなる状態が60〜180日続いた場合に、保険金が出ます。
会社員の場合には、傷病手当があるので、突然生活に困ってしまうと言うことは少ないと思います。ただし、フリーランスや個人事業主で働いている場合には、仕事ができなくなることが、収入もなくなるということになります。フリーランスで働いている人は備えておくのもいいでしょう。
関連記事:働けないリスク!フリーランスと会社員の就業不能保険の必要性はどのくらい違う?
老後が心配なら個人年金保険は必要?
まだ20代の人が、自分たちが年金を受け取るようになった時、年金制度がどうなっているのかと心配で、そのために貯蓄をしようというのはわかります。
しかし、20代ですから、年金の受給までは約40年以上あります。20代は自己投資の時期ですから自分の価値を上げることで、その後の収入も増えます。
個人年金保険とか終身保険を利用して資金を貯める方法もありますが、保険を利用するのはかならずしも効率がよくありません。なぜなら今の時代は予定利率が悪いので、保険を使って貯蓄をしてもほとんど増えません。しかも保険商品の多くは、超長期の固定金利です。ここは保障と貯蓄は分けて考えた方がいいでしょう。
関連記事:個人年金保険がおすすめしないと言われる理由とは?必要な人・不要な人も解説
まとめ
20代は、結婚をして子どもがいないのであれば、保険の必要性はそれほど高くはありません。
しかし、もし保険で備えておきたいのなら20代なら保険料も安いので、掛け捨ての安い保険に加入して、リスクをカバーしておきましょう。まずは、自分投資や貯蓄の方に力を入れておくと後々収入が伸びていきます。