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保険のキホン 〜就業不能保険の基礎知識〜

更新日:2024年9月6日

病気やケガで働けなくなると、収入が減り、家計に大きな影響を及ぼします。そんな収入減少のリスクに備えるのが就業不能保険です。 この記事では、就業不能保険の特徴や保障内容、商品選びのポイント、他の保険商品との違いなどについて解説します。

監修者

前田菜緒

FPオフィス And Asset/取締役 代表
所有資格
CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、公的保険アドバイザー、DCプランナー2級、夫婦問題診断士
専門分野・得意分野
教育資金、資産形成、保険、住宅ローン

就業不能保険とは


就業不能保険とは、被保険者が病気やケガなどによって働けなくなった場合に、契約時に定めた金額の給付金を一定期間、受け取ることができる保険です。病気やケガなどで長期療養を余儀なくされると、仕事にも影響が出て、収入が大きく減少する可能性があります。

就業不能保険は、数か月間にわたり仕事を休むなど、働けないことで起こりうる収入減少のリスクに備えるための保険です就業不能の期間に応じ、給付金を受け取ることができます。

一方で、死亡保険は死亡時や高度障害時に保険金を受け取ることができる保険で、医療保険は入院や手術の際に保険金を受け取ることができる保険です。いずれも就業不能状態を理由として保険金を受け取れる商品ではありません。働けなくなった際に給料のように給付金を受け取りたいと希望するのであれば、就業不能保険が適しております。

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就業不能保険で受け取る給付金はいくら?

就業不能保険は、所定の就業不能状態になった際に、契約時に定めた金額の給付金を受け取ることができます。

(1)就業不能状態になった場合に受け取る給付金の金額の決め方

就業不能保険は、まず契約時に就業不能給付金の金額(月額)を設定します。

被保険者の1ヶ月あたりの手取り収入を元に考えるとわかりやすいでしょう。

例えば、被保険者が1ヶ月あたりの手取り収入33万円の会社員である場合、健康保険から額面給料の3分の2の金額の傷病手当金を最長1年6ヶ月を受け取る事ができるため、それを考慮して5〜10万円を設定金額の目安にします。

なお、被保険者が国民健康保険に加入する自営業者やフリーランスである場合は、傷病手当金はないため、1ヶ月あたりの手取り収入で設定する必要があります。

※ただし、給付月額には設定できる上限があります。

就業不能給付金を受け取れる期間は、以下のいずれかが一般的です。

  • 就業不能状態から回復するまで
  • 保険期間満了まで

例えば、給付金の月額を10万円に設定し、被保険者の就業不能状態が支払い対象外期間を超えて20か月間となった場合、給付金の合計は200万円となります。

(2)年収によって設定できる給付金額に制限がある

就業不能保険は、職業や年収によって設定できる給付金額に上限が設けられています。

例えば、ある保険会社の就業不能保険では、職業・年収別の給付金の上限額が以下のように定められています。

年収

給付金上限金額

100万円超~200万円以下

10万円

200万円超~300万円以下

10万円~15万円

300万円超~400万円以下

10万円~20万円

400万円超~500万円以下

10万円~25万円

500万円超~600万円以下

10万円~30万円

600万円超~700万円以下

10万円~35万円

700万円超~800万円以下

10万円~40万円

800万円超~900万円以下

10万円~45万円

900万円超

10万円~50万円

主婦・主夫

10万円

学生、年金生活者、資産生活者、無職、年収100万円以下の人

申し込み不可

働けない場合の収入と支出を考え、適正な給付金額を設定しましょう。

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就業不能保険の給付金支払い対象

就業不能保険で給付金を受け取ることのできる「就業不能」の定義や、実際に給付金が支払われた事例について見ていきます。

(1)就業不能の定義と給付金が支払われた事例

何をもって「就業不能」とするのか、ある保険会社では、以下を定義しています。

  1. 治療を目的とした入院をしたとき
  2. 医師の指示を受け在宅療養をしたとき
  3. 国民年金法施行令に定める障害者等級2級以上に認定された場合

一方で、別の保険会社では、以下を就業不能状態としています。

  1. 5疾病(がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病、精神疾患)による所定の入院・在宅療養状態
  2. 病気やケガを原因とする所定の障害状態
  3. 所定の要介護状態

ここで注意したいのは、就業不能保険の保障対象となる自宅療養は、あくまでも医師の指示によるものであるという点です。体調が優れず自己判断で仕事を休んでいる場合は保障を受けられません。

なお、ほとんどの就業不能保険は「入院もしくは医師の指示による自宅療養状態」を就業不能状態に含むものの、その原因となった病気やケガを特に限定していない商品や、一方で5疾病や7疾病など限定しているものもあります。

また、就業不能状態に所定の要介護状態を含むかについても、保険会社によって異なります。

実際に、以下のような事例で、就業不能保険の給付金が支払われます。

  • 血管性の認知症により、250日間入院をした
  • 通勤中の事故によるケガで、180日間入院をした

就業不能保険への加入を検討する際には、就業不能と認められる状態就業不能の原因となる病気の限定について、必ず確認しましょう。

(2)うつや精神疾患は対象になる?

就業不能保険の保障の対象に精神疾患も含むのか、保険会社によって取り扱いが異なるため、注意が必要です。

就業不能状態の原因がうつ病などの精神疾患であると、給付金の支払対象外となる場合があります。

精神疾患による就業不能は保障内容が異なる場合がある

就業不能状態の原因が精神疾患であると、保障内容が変わる場合があります。

例えば、ある保険会社の就業不能保険は、精神疾患による就業不能状態も保障対象ですが、給付金の受取回数が、以下のように制限されます。

  • 病気やケガによる就業不能状態…回数無制限
  • 精神疾患による就業不能状態…通算18回まで

また、「就業不能」の定義も、通常の病気やケガと精神疾患で、以下のような違いがあります。

■ 病気やケガによる就業不能状態

  • 治療を目的とした入院
  • 医師の指示による在宅療養
  • 国民年金法施行令に定める障害者等級2級以上に認定された場合(精神疾患を直接の原因とするものを除く)

■ 精神疾患による就業不能状態

  1. 精神疾患の治療を目的とした入院
  2. 国民年金法施行令または精神保護及び精神障碍者福祉に関する法律施行令に定める障害者等級2級以上に認定された場合

就業不能保険を選ぶにあたって、就業不能状態に精神疾患が含まれる場合、どんな保障内容なのか、詳しく確認するとよいでしょう。

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就業不能保険の保障期間(保険期間)・免責期間・保障タイプ

よりニーズにあう商品を選ぶためにも、就業不能保険の保障期間と免責期間、そして保障タイプについてよく確認することが重要です。

(1)保障期間(保険期間)

就業不能保険の多くは、加入時に保障期間(保険期間)を選択できます。保険期間満了が特定の年齢(60歳や65歳)までと決められているものや、ある年齢の範囲(50~75歳までなど)から任意に設定できるものがあります。

よって、保障期間は、公的年金の受給開始年齢である65歳を目安に決めるとよいでしょう。もし、公的年金の受給開始後も働くつもりであれば、保険期間を長めに設定してもよいでしょう。

ただし、就業不能保険の保険料は、保険期間の長さに応じて高くなります。保険料が支払い続けられるのかという点も、慎重に考えてみることが大切です。

(2)免責期間

就業不能保険には、就業不能状態から給付金受取開始までの間に、免責期間が設けられています。この免責期間中には、給付金を一切受け取ることができません。

なお、免責期間は商品によって異なり、60日や、60日または180日のいずれかを選択できるものもあります。

(3)保障タイプ

就業不能保険には、以下の保障タイプを選択できる商品もあります。

■ 全疾病型
精神疾患を含む、すべての病気やケガを原因とした就業不能状態の場合に保障

■ 3大疾病型
がん、心筋梗塞、脳卒中を原因とした就業不能状態の場合に保障

■ がん保障型
がんを原因とした就業不能状態の場合に保障

精神疾患を含む病気に広く備えたいのであれば、全疾病型プランなど、保障範囲の広い商品を選ぶことをおすすめします。

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就業不能保険の必要性

日本は社会保障制度が充実しており、病気やケガで働けなくなっても、手厚いサポートが受けられます。それらの公的制度から、就業不能保険の必要性について考えていきます。

(1)働けない時に利用できる6つの公的制度

公的制度を利用することで、働けない間の逸失収入をカバーできる場合があります。

1. 有給休暇

会社員は、会社を休んでも賃金が支払われる有給休暇を利用することができます。雇入日より継続して6カ月間勤務し、かつ、全労働日のうち8割以上出勤すると与えられ、正社員はもちろん、パートタイムで働く従業員も取得することが可能です。

2. 会社独自の保障制度

法律で定められている休業補償や公的制度とは別に、会社独自の保障制度がある場合もあります。ただし、すべての会社に保障制度があるわけではなく、保障を受けられる条件や保障内容も、会社ごとに異なります。

3. 健康保険の傷病手当金

傷病手当金は、勤務先の健康保険組合など、社会保険の加入者が、病気やケガで仕事を休んだ場合に、以下の条件をすべて満たすと給付されます。

  1. 業務以外の事由を原因とする病気・ケガの療養のために休業している
  2. 仕事に就くことができない
  3. 連続する3日間を含み4日以上仕事に就くことができなかった
  4. 休業期間中に給与の支払いがない

傷病手当金は、連続する3日間の休業後、休業4日目から支給が開始します。支給期間は通算して最長1年6ヶ月です。

傷病手当金の1日あたりの支給額は以下の計算式により算出されます。おおよそ、月収の2/3相当額を受け取ることができます。

支給開始日以前の継続した12カ月間の各月の標準月額の平均額 ÷ 30日 × 2/3

なお、国民健康保険には、傷病手当金制度がないため、病気やケガで仕事を休んだとしても、傷病手当金を受け取ることはできません。

4. 雇用保険の傷病手当

雇用保険の傷病手当は、受給資格者が離職後にハローワークに来所して求職の申込をした後、15日以上引き続いて職業に就くことができなくなった場合に受け取れます。

傷病手当の金額は雇用保険の基本手当と同額で、離職直近6ヵ月の賃金合計(賞与等は除く)÷ 180 のおよそ50~80%です。なお、基本手当日額には年齢区分ごとの上限があり、令和5年8月時点における上限額は以下の通りです。

年齢区分

基本手当日額

30歳未満

6,945円

30歳以上45歳未満

7,715円

45歳以上60歳未満

8,490円

60歳以上65歳未満

7,294円

雇用保険の基本手当の受給期間は原則として、離職した日の翌日から1年間となります。ただし、病気やケガにより、引き続き30日以上引き続いて職業に就けない場合には、最大3年まで受給期間の延長が可能です。

また、「健康保険の傷病手当金」と「雇用保険の傷病手当」はまったく異なる制度です。健康保険の傷病手当金が在職中の保障であるのに対し、雇用保険の傷病手当は、失業中の保障です。

そのほかの注意点として、雇用保険の対象に個人事業主本人は含まれず、当制度を利用することもできません。

5. 労災保険の休業補償給付

労災保険の休業補償給付は、労働者が以下の3つの条件を満たした場合に受け取れます。

  1. 業務上の事由または通勤を原因とする病気やケガで療養している
  2. 仕事に就けない状態である
  3. 賃金を受け取っていない

休業初日から3日間を待期期間とし、4日目から以下の給付金が支給されます。

  • 休業補償給付金…給付基礎日額[i]の60%×休業日数
  • 休業特別支給金…給付基礎日額の20%×休業日数

なお、給付基礎日額とは、原則として労働基準法の平均賃金(事故が発生した日の直前3か月間にその労働者に対して支払われた金額の総額÷その期間の歴日数で算出)に相当する額を指します。

休業補償給付金の支払期間に特段の制限はありません。ただし、療養開始から1年6ヵ月が経過すると、給付基礎日額について年齢階層別に定められる最低・最高限度額が適用されます。

また、その際に以下の要件に該当すると、休業保障給付金から傷病補償年金の給付に切り替わります。

  • 病気またはケガが治っていない
  • 病気またはケガによる傷害の程度が傷病等級表の傷病等級に該当する
6. 国民年金や厚生年金の障害年金

国民年金や厚生年金の障害年金は、病気やケガによって「一定の障害の状態にある」と認定された場合に受給できるものです。

令和6年度の国民年金の障害基礎年金額は、以下の通りです。なお、障害等級1級の年金額は、2級の1.25倍です。

障害等級

障害基礎年金額

1級

1,020,000円 + 子の加算額(※生計を維持する子がいるときに加算)

2級

816,000円 + 子の加算額

なお、厚生年金加入者は、障害基礎年金に加え、障害厚生年金が受給できます。令和6年度の障害厚生年金額は以下の通りです。

障害等級

障害厚生年金額

1級

報酬比例の年金額×1.25+〔配偶者の加給年金額(234,800円)※生計を維持する65歳未満の配偶者がいるときに加算〕

2級

報酬比例の年金額 +〔配偶者の加給年金額(234,800円)〕

3級

報酬比例の年金額(最低保証額612,000円)


国民年金では、障害基礎年金のみ支給され、障害等級も2級から保障の対象となるため注意が必要です。

(2)職業によって利用できる公的制度が異なる

公的制度は会社員と自営業者やフリーランスで、利用できるものが大きく異なります。

■ 病気やケガで働けない場合に会社員が利用できる公的制度

  • 有給休暇
  • 会社独自の保障制度
  • 健康保険の傷病手当金
  • 雇用保険の傷病手当
  • 労災保険の休業補償給付
  • 障害基礎年金と障害厚生年金

■ 病気やケガで働けない場合に自営業者やフリーランスが利用できる公的制度

  • 障害基礎年金
  • 労災保険の休業補償給付制度※労災に加入している場合

自営業者が利用できる公的制度は、会社員に比べてかなり限定されているため、働けなくなった場合のリスクにより手厚く備えておく必要があります。

(3)働けなくても生活費の支出は続く

病気やケガで働けなくなり、収入が減少しても、毎月の生活費など支出は続きます。総務省が令和5年に行った家計調査報告によると、2人以上世帯(勤労世帯)における1か月あたりの支出の平均額は32万0,627円で、主な内訳は以下の通りでした。

主な内訳

金額

食料

8万0,502円

住居

2万0,115円

光熱・水道

2万4,421円

家具・家事用品

1万3,000円

被服及び履物

1万1,293円

保健医療

1万3,708円

交通・通信

5万0,688円

教育

1万8,126円

教養娯楽

2万9,737円

その他の消費支出

5万9,036円

こづかい(使途不明)

8,195円

交際費

1万4,810円

これはあくまでも平均値のため、平均値を大きく上回る家庭も多くあります。

公的制度を利用することで、一定の保障を得られるとはいえ、今までと同水準の生活を維持していくのは難しいといえます。

(4)就業不能保険の加入率

では、実際に就業不能保険の加入者は、どのくらいいるのでしょうか。

生命保険文化センターの調査によると、2021年(令和3年)における生活障害・就業不能保障保険、生活障害・就業不能保障特約の世帯加入率は18.4%でした。また、その加入率を世帯主年齢別にみると、以下の通りでした。

子どもも小さく、働き盛りの世代といえる30~40代の加入率が高くなる傾向がわかります。

世帯主の年齢

生活障害・就業不能保障保険、
生活障害・就業不能保障特約の世帯加入率

29歳以下

26.5%

30~34歳

34.6%

35~39歳

30.9%

40~44歳

26.3%

45~49歳

26.3%

50~54歳

26.3%

55~59歳

17.5%

60~64歳

14.7%

また、コのほけん!のアンケート調査で、「保険加入に関する意向調査」を独自に実施したところ、回答者486名のうち、就業不能保険に加入している人は1.6%でした。

就業不能保険がおすすめな人と必要ない人

就業不能保険はすべての人に必要な保険ではありません。就業不能保険による備えが必要な人と、そうではない人について解説します。

(1)就業不能保険がおすすめな人

以下のチェックリストに当てはまる場合は、就業不能保険への加入を検討してみるとよいでしょう。

  • 自営業者・フリーランス
  • 住居費(住宅ローン・賃料など)がかかる
  • 長期間働けなくても生活できるだけの貯金がない
  • 小さい子どもがいる
  • メンタルの不調が心配な方
  • メンタル不調で休業している人が多い職場に勤務している

働けなくなったとしても、先ほど述べた公的保障があります。また、パートナーがいる人はパートナーの収入も考慮できるかもしれません。しかし、それらの収入を考えても、収入が厳しそうであれば、就業不能保険への加入を検討すると良いでしょう。

(2)必要ない人

そもそも、他に収入があれば、就業不能保険に加入する必要はありません。以下に当てはまれば、就業不能保険は不要といえます。

  • 不動産所得など不労所得がある
  • 共働きで一方の収入があれば生活できる

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就業不能保険と他の保険との違い

就業不能保険と混同されやすいものに、医療保険収入保障保険そして所得補償保険があります。

(1)医療保険と就業不能保険の違い

医療保険は、病気やケガの治療を目的とした入院や手術について保険金を受け取れます。医療保険と就業不能保険は、対応するリスクに大きな違いがあります。

就業不能保険が病気やケガによる収入減をカバーするのに対し、医療保険は病気やケガの医療費をカバーします。

ほとんどの医療保険では、入院日数に応じて支払われる入院給付金について、支払限度日数が設けられています。例えば、支払限度日数が60日である場合、入院期間が61日以上になっても60日分の入院給付金しか受け取ることができません。

これに対して就業不能保険は、就業不能状態から回復するまで、あるいは保険期間満了まで給付金を受け取ることができます。

また、医療保険は原則として、入院や手術を受けた場合に保障を受けられますが、就業不能保険は、入院した場合はもちろん、医師の指示による在宅療養も、保障を受けることが可能です。

関連ページ:医療保険の基礎知識

(2)収入保障保険と就業不能保険の違い

就業不能保険と名前が似ている収入保障保険は、死亡保険に分類される商品です。

収入保障保険は、被保険者が死亡した場合に遺された家族が、保険期間満了時まで所定の死亡保険金を受け取ることができます。

就業不能保険はあくまでも生きている人が働けないリスクに備えるため、被保険者が死亡した場合は給付金を受け取ることはできません。

就業不能保険は生きている間のリスクをカバーしますが、収入保障保険は亡くなった後のリスクをカバーするものである、といえるでしょう。

(3)所得補償保険と就業不能保険の違い

就業不能保険は生命保険会社が取り扱うのに対し、所得補償保険は損害保険会社が取り扱います。

病気やケガによって働けなくなるリスクに備える、という点では同じですが、保障金額や保険期間、保障(補償)を受けられる期間など、以下のような違いがあります。

■ 所得補償保険

  • 保険金額…契約前の1年間における所得の50~70%
  • 保険期間…1~5年(更新は可能)
  • 補償を受けられる期間…2年、5年、○○歳まで、など商品によって異なる

■ 就業不能保険

  • 保険金額…生命保険会社が定める年収に応じた上限額の範囲内で設定
  • 保険期間…生命保険会社が指定する年齢の範囲内で満期を設定
  • 保障を受けられる期間…就業不能状態から回復するまで、あるいは保険期間満了まで

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就業不能保険の選び方

就業不能保険を選ぶ際は、以下のポイントをチェックしてみましょう。

(1)就業不能の定義と保障範囲

就業不能の定義や、保障範囲は、商品によって異なります。それぞれ就業不能をどう定義しているのか、どんな病気やケガによる就業不能状態を保障の対象としているのか、事前に確認しておきましょう。

(2)保障金額(保険金額)

働けなくなった場合に必要な生活費のすべてを就業不能保険でカバーする必要はありません。公的制度の利用や、貯金を取り崩す方法もあります。

利用できる公的制度や、その制度によって得られる給付金はどのくらいなのか、といったことを具体的にシミュレーションしてみると、保障金額が設定しやすくなります。

(3)保障期間(保険期間)

就業不能保険の保障期間は、働いている全期間もしくは一定期間のどちらかに決める必要があります。

保障期間を働いている間とする場合は、退職予定時期に合わせるとよいでしょう。

これに対して、一定期間とする場合は、子供が独立する歳や、住宅ローンの支払いを終える歳など、将来設計に合わせるとよいでしょう。

(4)給付金の受け取り方

就業不能保険の中には、就業不能状態になった日から1年6ヵ月間にわたり給付金の額を削減できるものがあります。

会社員は健康保険の傷病手当金を1年6ヵ月間受給できるため、この期間内に就業不能保険の給付金の受け取り額を減らしても、大きな問題はないといえます。給付金の削減期間を設けると、保険料も安く抑えられます。

これに対して、自営業者やフリーランスは、病気やケガで仕事を休んでも傷病手当金を受け取ることができません。よって、免責期間の経過後からすぐに給付金を受け取れるプランを選ぶことをおすすめします。

まとめ

就業不能保険は保険会社によって、就業不能の定義や保障内容が異なります。備えるべき保障金額や保障期間も、年齢や家族構成、職種などにより異なります。

就業不能保険への加入を検討する際は、毎月の生活費や、保険で備えが必要な金額を具体的にシミュレーションしてみましょう。

もし、就業不能保険の商品選びに迷ったら、コのほけん!の無料相談サービスもぜひご利用ください!

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監修者

執筆者

前田菜緒

FPオフィス And Asset/取締役 代表
保険代理店に7年間勤務後、FPとして独立。子育て世帯向けに住宅購入、教育費準備、資産形成中心のライフプラン相談を行っている。子育て世帯の人生を黒字化させることが得意。経済的理由で進学をあきらめる子をなくしたいとの想いを持ち、離婚に迷っている人のライフプラン相談も行っている。
保険代理店に7年間勤務後、FPとして独立。子育て世帯向けに住宅購入、教育費準備、資産形成中心のライフプラン相談を行っている。子育て世帯の人生を黒字化させることが得意。経済的理由で進学をあきらめる子をなくしたいとの想いを持ち、離婚に迷っている人のライフプラン相談も行っている。
所有資格
  • CFP
  • 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
  • 公的保険アドバイザー
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専門分野・得意分野
教育資金、資産形成、保険、住宅ローン

小林未樹

Sasuke Financial Lab株式会社/マーケティング部
Sasuke Financial Lab株式会社に中途入社。前職は大手損害保険会社に5年程勤務、営業事務として損害保険の実務を経験する。出版社・編集プロダクションでも勤務経験あり。長野県出身。
Sasuke Financial Lab株式会社に中途入社。前職は大手損害保険会社に5年程勤務、営業事務として損害保険の実務を経験する。出版社・編集プロダクションでも勤務経験あり。長野県出身。
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  • FP3級
  • 損保一般試験(基礎単位・商品単位)
  • 生命保険一般課程試験
  • ITパスポート
専門分野・得意分野
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調査企画・設計者:Sasuke Financial Lab株式会社
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調査方法:インターネット調査(媒体:クラウドワークス、シュフティ)
調査委託機関:株式会社クロスマーケティング、クラウドワークス
調査概要:生命保険会社・損害保険会社各社が販売する各保険商品の満足度をジャンル別、項目別に利用者の評価及び口コミ情報をベースに集計。
調査対象保険会社:アクサ生命保険株式会社、アフラック生命保険株式会社、SBI生命保険株式会社、FWD生命保険株式会社、オリックス生命保険株式会社、SOMPOひまわり生命保険株式会社、チューリッヒ生命保険株式会社、東京海上日動あんしん生命保険株式会社、ネオファースト生命保険株式会社、三井住友海上あいおい生命保険株式会社、メディケア生命保険株式会社、ライフネット生命保険株式会社、なないろ生命保険株式会社、はなさく生命保険株式会社、朝日生命保険相互会社、太陽生命保険株式会社
調査除外対象:著しい誹謗中傷を含む投稿。投稿内容が客観性を欠くと判断される場合。同一人物からと類推されるユーザーからの投稿。以上の投稿については集計対象外としています。
調査対象地域:日本
調査対象者:20歳から69歳までの男女
母集団及び有効回答数:有効回答数:563件(※2024年7月3日現在)
  • 口コミの内容は、ユーザーアンケートの回答内容に反しない範囲で、表現を整えた上で掲載しています。掲載しているユーザーの年齢はアンケート収集時の年齢であり、保険加入時の年齢ではありません。
  • 「口コミ、評判」に掲載されている内容は、あくまでユーザー個人の主観的な感想や評価であり、保険商品の保障内容や保険料などを保証するものではありません。各ユーザーの前提条件(被保険者の年齢、性別、必要な保障条件など)によって、保障内容、保険料に対する評価も異なる可能性があるため、あくまでも参考情報としてご覧ください。
  • 評点は、「総合満足度」、「加入手続きのスムーズさ」、「保険料の安さ」、「保障内容の充実度」、「顧客対応」、「保険金請求のスムーズさ」の各項目について、ユーザーが下記から選択したものを掲載しています。(いいと思う:5、少しいいと思う:4、普通:3、少しよくないと思う:2、よくないと思う:1)
  • 「加入手続き」、「顧客対応」の評価には、ユーザーが保険商品を申し込んだ経路によっては、対象保険会社の商品を取り扱う保険代理店等に対する評価が含まれている可能性があります。
  • 保険商品を選択する際には、商品の詳細を「パンフレット」、「契約概要」、「注意喚起情報」、「ご契約のしおり・約款」等にてご確認いただいた上で、保険料水準のみではなく、保障内容等も含め、総合的に比較・検討いただきますようお願いします。
  • アンケート委託先のモニタ会員のうち、対象保険会社の対象の保険商品を契約された方に実施したアンケート調査であるため、コのほけん!経由で契約した方に限りません。
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