がん保険とがん共済、どちらがおすすめ?

どちらに加入しようか迷っている場合、どちらがおすすめか気になるのではないでしょうか。
がん保険とがん共済には、それぞれ特徴があり、どちらがおすすめかを断定することはできません。
それぞれの特徴や違いを理解した上で、どちらが自分にふさわしいか考えるとよいでしょう。
保険・共済を納得して選べるように、保険と共済の違いやどのような人に向いているかなどについて解説していきます。
保険と共済の違い
どのような人ががん保険やがん共済に向いているか解説する前に、一般的な保険と共済の違いについて紹介します。ここで紹介する両者の違いが商品性の違いになって現れています。なお保険と共済では、保険料と共済掛金、保険金と共済金など使われる用語にも違いがあります。
(1) 経営・運営方針の違い
保険
共済
(2) 加入対象者の違い
保険
共済
(3) 保障内容の違い
保険
共済
関連記事:生命保険と共済の違いは?メリット・デメリットとおすすめの選び方
がん保険とは
がん保険は、保険会社によってその商品性は多種多様で、特約によるカスタマイズも含めると、保障の組み合わせは無数にあります。選択肢が多いことはメリットですが、ある程度知識がないとどのように選んでよいかわからなくなる可能性もあります。
がん保険では、入院給付金と手術給付金をメインとする保険のほか、がん診断一時金を主契約とする保険や実費払いの保険などさまざまなタイプがあります。特にがん共済と比較した場合のがん保険の特徴をまとめると次のようになります。
がん保険の特徴
- ほとんどの生損保会社から販売されている
- 特約を付帯することで保障を充実させることができる
- 保障の範囲を調整することで、無理のない範囲の保険料で保障を得ることができる
- 高齢になるほど、保障を厚くするほど保険料は高くなる
- 似たような保障でも支払条件が少し異なるなど商品性を理解するのに時間がかかる
関連記事:自分にがん保険は必要?不要論のワケ・必要性が高い人を知る
がん共済とは
がん共済は、がん治療に対する保障を備えた、協同組合などが取り扱う商品です。都道府県民共済、コープ共済、こくみん共済(全労災)、JA共済のうち、がん共済を販売しているのはJA共済のみで、ほかは特約で付帯するしかありません。生命共済や医療共済に加入しがん特約を付帯します。
JA共済のがん共済は、充実型と基本型の2つのタイプから選べ、がん診断共済金、がん入院共済金(日額10,000円)、がん手術共済金、がん放射線治療共済金、がん先進医療共済金などがん保険の保障が一通り備わっています。一生涯保障される終身タイプもあります。
共済掛金は加入時の年齢によって変わるため、がん保険の特徴と似ています。
がん保険と比較した場合のがん共済(JA共済)の特徴をまとめると次のようになります。
がん共済の特徴
- 都道府県民共済の生命共済や医療共済とは異なり、年齢により共済掛金は変わる
※JA共済は、終身共済や医療共済も年齢により共済掛金が異なります。 - 加入中の共済掛金は変わらず、がん保険と同様、一生涯保障される終身タイプもある
- 特約を付帯したり、外したりできず、2つのプランから選ぶシンプルな保障内容
- 2つのプランしかないため、保険料の選択肢も2つしかない
- 割戻金がある(必ず発生するとは限らない)
JA共済のがん共済(充実型)
- がん診断共済金 200万円(100万円)
- がん入院共済金 1日あたり10,000円
- がん手術共済金 入院中の手術 1回あたり40万円(20万円)
- 外来の手術 1回あたり10万円(5万円)
- がん放射線治療共済金 1回あたり20万円(10万円)
- がん治療共済金 1回あたり100万円(50万円)
- がん先進医療共済金 先進医療の技術料相当額
- がん先進医療一時金 1回あたり がん先進医療共済金の額×10%(30万円上限)
※( )内の金額は基本型の場合
※出典:JA共済「がん共済」
がん共済のメリット
JA共済のがん共済は、前述したとおり充実型と基本型の2種類しかなく、どちらにするか決めるだけですのでシンプルです。がん保険と比べても遜色のない保障内容となっています。
またがん保険とは異なり、契約後3年目から割戻金が発生する可能性もあります。割戻金があれば、さらに支払い負担を軽減することができます。
がん共済のメリットをまとめると次のようになります。
メリット
- 2つのプランを選ぶだけのシンプルな保障内容
- 割戻金がある
- がん診断共済金、がん入院共済金、がん手術共済金、がん放射線治療共済金、がん先進医療共済金など必要な保障は一通りそろっている
- 共済掛金は共済期間中も変わらない
- 終身タイプであれば一生涯保障される
がん共済のデメリット
がん共済はシンプルであるため、共済掛金が支払えるかどうかが問題となります。不必要な保障を外したり、給付金額を調整したりして、自分に合った保障にすることもできません。ただがん保険でも同じような保障を選ぶのであれば、保険料と共済掛金を比較して負担の軽いほうを選ぶとよいでしょう。
また保障内容を詳しく見ると、がん診断共済金は1回のみしか受け取ることができません。
がん保険では、2年に1回など複数回支払われる保険もあるため、デメリットと感じるかもしれません。
ただ、充実型であればがん診断共済金は200万円で、またがん再発時や長期治療のときにはがん治療共済金として100万円が1年に1回を上限に何回でも保障されるので、共済掛金とのバランス次第と言えるでしょう。
がん共済のデメリットをまとめると次のようになります。
デメリット
- 入院共済金をおさえ診断共済金をさらに充実させるなど、自由にカスタマイズできない
- カスタマイズできないことから、共済掛金を割高だと感じてしまう可能性もある
がん保険とがん共済の違い(比較表)
生命保険会社が販売するがん保険は終身タイプが主流ですが、損害保険会社が販売するがん保険は5年更新タイプが主流です。5年更新タイプの保険料は一般的に5年ごとに見直されます。一方、JA共済のがん共済は終身か80歳満了かを選択できます。
共済掛金は変化しませんので、生命保険会社のがん保険に似ていると言えます。
がん保険とがん共済の保険料・共済掛金は保障内容と年齢により異なりますが、がん共済はあらかじめ用意されたプランから選ぶため、おもに年齢により共済掛金が変わります。
保障内容や給付金額については、がん保険ではカスタマイズ可能ですが、がん共済は自由に調整することはできません。
がん保険とがん共済の違いをまとめると次の表のようになります。
がん保険 | がん共済(JA共済) | |
保障期間(共済期間) | 終身・1年更新 | 終身・80歳満了 |
保険料(共済掛金) | 保障内容・年齢による | おもに年齢による |
保障内容 | カスタマイズ可能 | カスタマイズ不可能 |
給付金額 | カスタマイズ可能 | カスタマイズ不可能 |
がん共済はがん保険のように特約によるカスタマイズはできませんが、商品の一つとして保険・共済まとめて比較検討すれば問題ないでしょう。
がん保険がおすすめはこんな人
がん保険は、販売している保険会社が多く、特約を付帯することにより保障内容を充実させることや特約を付帯しないことで保険料をおさえることもできることから、幅広い層に対応していると言えます。現在の家計の状況に合わせて保険料を調整することもできますので、自分に合ったがん保険を選ぶことができます。
こんな方におすすめ
- 家計に合わせたがん保険を選びたい人
- 自分に合わせた保障内容を選びたい人
- 保険選びに時間をかけられる人
がん共済がおすすめはこんな人
がん共済は、取り扱っている組合がほとんどなく、がん共済だけでは選択肢は限られています。がん共済を取り扱うJA共済では充実型と基本型の2種類しかありません。ただ、がん保障としては一通りの保障が備わっているため、共済掛金の額に問題なければ十分選択肢となるでしょう。
こんな方におすすめ
- 充実したがん保障がほしい人
- 保険選びに時間をかけられない人
まとめ
がん共済は、都道府県民共済の医療共済などとは異なり、がん保険に近い仕組みであることがわかりました。
また都道府県民共済やコープ共済などでは医療共済に特約として付帯してがんの保障を充実させるしかなく、がん保障単体はJA共済でしか販売されていません。
保険・共済を選ぶ際には、保険・共済の違いを含め、商品性を比較する必要があります。特に支払い条件に注意して比較すれば、保険・共済の違いに気づきやすくなるでしょう。