がん保険

がん保険|働けなくなったらどうする?

日本人ががんになる確率は、男性が2人に1人、女性が3人に1人と言われています。医療技術の進展により、早期発見であれば、がんの種類によっては完治できるまでになりました。しかし、症状によっては治療に専念しなければならないケースもあり、その場合、どうしても金銭面での不安がつきまといます。

Sasukeくん
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がんになり働けなくなる人はどれくらいいるのか、この記事ではさまざまな調査結果をもとにがんになった場合の環境の変化をとらえ、利用できる社会保障制度や保険の種類について解説します。

がんで働けなくなる確率

病気やけがで働けなくなり、十分な報酬が受けられない場合、健康保険から傷病手当金を受け取ることができます。

傷病手当金は、仕事を休んだ日から連続して3日間休み、4日目以降も働けなかった場合に支給の対象となります。

休みが多くても「3日間連続休み」という条件が必要となります。

また傷病手当金は最長1年6ヶ月支給されます。

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健康保険の保険者である協会けんぽでは、この傷病手当金について調査しており、そこからがんで働けなくなった場合の状況を読みとることができます。ここでは新生物(悪性・良性)に関連したデータを紹介します。

傷病手当金の受給の原因は、「精神及び行動の障害」が約32.72%と最も高く、良性新生物を含む新生物は約17.72%と次に高い割合となっています。

【傷病別・性別・年齢階級別 件数の構成割合(%)】

総数
総数 100.00
感染症及び寄生虫症 1.30
新生物 17.72
血液及び造血器の疾患並びに免疫機構の障害 0.32
内分泌、栄養及び代謝疾患 1.61
精神及び行動の障害 32.72
神経系の疾患 3.86
眼及び付属器の疾患 1.02
耳及び乳様突起の疾患 0.61
循環器系の疾患 9.48
呼吸器系の疾患 2.05
消化器系の疾患 3.63
皮膚及び皮下組織の疾患 0.67
筋骨格系及び結合組織の疾患 10.56
腎尿路生殖器系の疾患 1.84
妊娠、分娩及び産じょく 3.84
周産期に発生した病態 0.01
先天奇形、変形及び染色体異常 0.19
症状、徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの 0.98
損傷、中毒及びその他の外因の影響 6.89
特殊目的用コード 0.71

がんになる確率は年齢を重ねるにつれ増えます。

【新生物の年齢階級別 件数の構成割合】

 年齢  割合
 15~19歳 3.11
 20~24歳 2.41
 25~29歳 3.31
 30~34歳 5.01
 35~39歳 8.56
 40~44歳 13.55
 45~49歳 17.21
 50~54歳  20.27
 55~59歳  23.44
 60~64歳  29.71
 65~69歳  33.99
 70歳以上  35.24

年齢別の割合を見ると、40歳未満の各年齢層では10%未満ですが、50~59歳が20%以上、60歳以上が約30%以上で、最も高い割合となっています。なお協会けんぽはおもに中小企業が多く加入している健康保険であるため、大企業の従業員を入れると割合は変わる可能性があります。

※出典:協会けんぽ「現金給付受給者状況調査(令和2年度)

がん治療と仕事の両立について

次にがん医療と仕事の両立について、さまざまな調査結果から考えていきます。

独立行政法人労働政策研究・研修機構「病気の治療と仕事の両立に関する実態調査(令和元年)」によると過去3年間に疾患者がいるかどうかについて、24.3%の企業が「がん疾患者がいる」と回答しています。

またがんになった場合休職しているかどうかについて、「疾患者の半数以上が休職を経て治療」と回答した企業が全体の約59.9%となっています。一方、「ほとんど休職することなく通院治療」と回答した企業が約34.3%です。働きながら治療できると言われていますが、まだまだ休職する必要がある状況がうかがえます。

次にアフラック生命保険株式会社とキャンサー・ソリューションズ株式会社が共同で行った「がんと就労に関する意識調査」の結果を紹介します。がんと診断された1年目の平均休暇日数は65.8日、2年目以降は30.9日となっています。この調査結果では、1年目は有給休暇や傷病休暇制度を活用できたとしても、2年目以降に対応する制度が少なく、制度の整備が必要と結論付けています。

最後にライフネット生命保険株式会社が行った「がん経験者へのアンケート調査2020」を紹介します。がん罹患後に、仕事復帰した人の割合は55%、がん罹患後も休職や退職をせず働き続けている人の割合は19%となっています。また経済面について、がん罹患前後の収入では、罹患前の年収約348万円が罹患後には約271万円となっており、罹患後に22%収入が減少しています。その理由は休職が最も多く約45%、業務量のセーブが約30%、退職が約26%となっています。

調査結果のとらえ方はさまざまあると思いますが、収入が減少した人や退職した人がいることを考えると、がん罹患後も収入を維持することが難しいケースがあることがわかります。

がんの治療費に使える制度

先に紹介した調査結果では、収入が減った人がいることがわかりました。収入が減ると治療費の負担がより重くなります。それではがんの治療費の負担を軽減できる制度はないのでしょうか。

ここではがんの治療費に使える制度2つ紹介します。

高額療養費制度

高額療養費制度とは、医療費が高額になっても一定額以上の支払いは返金される制度です。

たとえば自己負担割合3割の人が医療費100万円かかった場合、30万円は負担しなければなりません。しかし高額療養費制度を利用することができれば、おおむね8万円~10万円程度の負担で済み、差額分は返金されます。なお所得区分に応じた計算式で求めますので、自己負担限度額は人によって異なります。

医療費控除

医療費控除とは、自分や家族のために医療費を支払った場合、所得税及び個人住民税から一定額(最高200万円)を控除できる制度です。

医療費控除を適用すれば、1年間に支払った医療費が一定額を超えると、確定申告をすることで税金が安くなります。

会社員や公務員は毎月の給与から税金が引かれていますので、所得金額や控除額によっては支払った税金が戻ってきます。医療機関までの電車やバス運賃も対象ですので、治療にかかわる領収書やレシートは保管しておきましょう。

がんで働けなくなった場合の制度

傷病手当金

傷病手当金は、病気やけがで働けなくなり、十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
支給額はおおむね給与の3分の2で、最長1年6ヶ月間受け取ることができます。収入としては減ってしまいますが、残りの3分の1を事前に準備することができれば、金銭面の心配を和らげることができます。なお自営業者などが加入する国民健康保険には傷病手当金はありませんので、注意が必要です。

障害年金

障害年金は、病気やケガで生活や仕事に支障をきたす後遺症が残ってしまった場合などに支給され、支給額は障害の程度によって異なります。
障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金があり、軽い障害の場合には年金ではなく障害手当金(一時金)を受け取ることができます。障害年金では、手足の障害など外部障害だけでなく、がんや糖尿病などの内部障害も対象です。

がん保険の必要性

がん保険は、上記の公的社会保障を考慮して、自分自身や家族にとって必要な保険かどうか検討します。

会社員や公務員の場合、十分な給与が受けられなくても、傷病手当金が支給されます。これらを考慮し、減少した収入分を補てんする必要があるか、どのように補てんするか検討します。

また治療費の支払いにより支出が増加しますので、がんの治療費だけでなく、医療機関までの交通費や雑費などを含めて考えます。がんの治療方法は多種多様で、準備している資金が多いほど、選択肢が増える可能性があります。そのため、貯蓄で準備できない可能性がある場合や、収入減を補てんするのは難しい場合などはがん保険を活用するとよいでしょう。

保険では、がん保険で対応する方法のほかに就業不能保険もあります。就業不能保険は、病気やケガで働けなくなった場合の収入減に備えることができる保険で、所定の就業不能状態になった場合に給付金が支払われます。保険会社によって就業不能状態は異なりますので、給付金の額とともに支給される条件を確認しておきましょう。

まとめ

がんの治療方法は年々進歩しており、医療技術においては働きながら通院治療で対応できるケースが増えています。一方、職場ではがん疾患者に対する十分な制度が整っているとは言い難く、収入が減少したり、退職して治療したりするケースが調査結果からうかがえます。

家庭や職場の環境は人によって異なりますが、少なくとも金銭面で十分な準備ができていれば、がんの治療に専念できる可能性が高まるでしょう。貯蓄だけでは十分な準備ができない場合は、がん保険や就業不能保険を検討してみましょう。

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